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25永寿院の湧き水は、水質がきれいなだけでなく味もおいしいと評判だそう。お酒を割ったりご飯を炊くときに使ったりするために、わざわざ東京から水を汲みに来る人もいるという。身近にある水は、ほかの地域の人がうらやむほどに良質な水だったなんて。好条件のもとで自然に生み出された恵みだと知り、思わず感謝したくなった。ふと、先ほど民家で見かけた三角形の飾りを思い出す。生まれも育ちも十日市場である水庭さんなら知っているはずだ。少しお話をうかがってみる。現在まで残る風習水庭さんは、飾りについて、十日市場地区で行われる﹃ひいち﹄というお祭りのものだと教えてくれた。「昔からずっとやっている道どうそじん祖神のお祭りだよ」。道祖神とは、村むらざかい境などに祭られている神様だ。村に悪霊が侵入するのを防ぎ、通行人や村人を災難から守ると言われている。「今でもこの風習が残っているのは、ここら辺では十日市場だけなんじゃないかな。1月に、十日市場地区でこの飾りをひし形状に並べて燃やすんだよ」。三角の小篠神社の石段。表面に空いている小さな穴は、溶岩石の特徴だ(2024年9月5日)③小篠神社の本殿に飾られていた提灯形をした飾りは、十日市場を守るために残り続ける文化だった。毎年、﹃ひいち﹄の飾りは、地域ボランティアのポプラの会のかたが作り、各家庭に配っているそう。「使わなくなった座布団とかの生地で作っているよ。昔、この辺では機はたや屋さんが多かったからね」。帰り道によく見てみると、それぞれの家で柄や色味が少しずつ違う。話を聞いて、飾られている意味を知ると、三角形の飾りが家の守り神のように見える。小さくて華やかな飾りは、十日市場地区を見守ってくれている。卍永寿院卍自得院卍棲月院卍光彩院小篠神社十日市場駅桂川中央自動車道富士急行線139△十日市場 散策マップ歩いた道N②①歩いた道N①③50m

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