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28no.118 Dec. 2024谷村町のスナック8月2日、お昼をいただこうと、開店してまもない時間の午前10時に雨花を訪れた。開いているのかわからずお店の前をうろうろする。しばらくするとママに声をかけてもらい、店内に招き入れてもらった。お店がスナックのような外観だったので、身の丈に合わないお店だと思っていたが、ママの気さくな対応に緊張がほぐれる。 カウンターの奥にはぎっしりとお酒が並んだ棚があり、やはりスナックのようだ。しか本誌の95号に、「雨うか花」というお店が取り上げられている。そのお店は都留文科大学前駅からひと駅先の、谷やむらまち村町駅のすぐそばにある。建物の正面の壁には「喫茶」、ひさしには「SNACK」とそれぞれ書かれており、どちらかわからない。記事から伝わる、ママこと坂さかば場ちよ子さん(88)のすてきな人柄に惹かれた私は、お店を訪ねてみることにした。に、ママは「大木洋美」という送り主の名前が書いてある段ボールを見せてくれた。アルバイト時代からの関係が、約35年後の今に至るまで続いているようだ。関係がこんなに続くものなのかと驚き、段ボールに印刷された名前をまじまじと見る。私はこの素敵なお話に、雇い主と従業員に収まらない信頼関係を感じた。 洋美さんのほかにもうひとり、ママの話によく出てくる人がいる。そのかたは本学に在学中の楠くす彩あやな菜さんだ。今、ママともっとも親しじっさいは、昼は喫茶店として、夜は予約時のみスナックとして営業しているそうだ。 ママは、こちらが聞かずとも、自分の人生や、雨花によく来るお客さんについて語ってくれた。 雨花を開いた理由は、女手ひとつで息子さんを育てるためだという。「旦那もいないし(ママが30歳のときガンで亡くなった)息子を育てないとだし。やんなきゃ生きてけなかった」。ママは、私が想像もできない苦労をしてきたかただ。都留の母 ママは大おおきひろみ木洋美さんという、元アルバイトの学生についてくり返し話す。そのかたは本学の卒業生であり、ママによるとはっきりとした物言いをする性格だそうだ。ママに「タバコまだやめてないの」と遠慮なく言ったという話から、その一面がうかがえる。 そんな洋美さんだが、同級生にママのことを「都留の母です」と紹介したという。洋美さんは、ママに信頼を寄せているようだ。 「そういえばこのあいだ、洋美さんからいろいろ贈り物が届いたんだよね」。おもむろカメラに向かってほほえむママ。持っているサツマイモのてんぷらをいただいた(2024年11月5日)
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