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29彩菜さん(右)を交えてお話しした。ママにお茶と料理をふるまってもらい会話を楽しんだ(2024年11月9日)しい学生らしい。「よかったら今度お店に来てもらって話す?」と提案してもらったので、お言葉に甘えることにした。常連の大学生 当日お店で待っていると、笑顔が素敵なかたがやってきた。彩菜さんだ。彩菜さんが雨花に通うようになったのは、一年生のときにサークルの先輩にお勧めされたことがきっかけだそう。「お金を握りしめて店の前をうろうろしててね、かわいかったよ」とママは当時を懐かしむように語る。私が雨花にはじめてやってきたときと似ている。 ママと彩菜さんの交流は、一緒に高尾山を登ったりなど、お店の中にとどまらない。また、ママは彩菜さんの家族とも親交があるという。特に彩菜さんの祖母とは、頻繁に品物を送り合うような深い仲だという。「ママは親戚のような、おばあちゃんのような存在」と彩菜さんはうれしそうに話す。過去に、彩菜さんは両親を雨花へ連れて行ったことがあるという。「お父さんがマスクしていたから、彩菜の彼氏かと勘違いしたよ」と笑いながら話すママと、彩菜さんの顔には、お互いへの親しみがにじみ出ていた。安らぎの場所 ママに営業するうえで意識していることを聞いてみる。「みんなそれぞれの価値観で生きてるけど、本質的なものは同じで、悩みもある。リラックスする場が必要」。この言葉を聞いて、ママが慕われている理由がわかった気がした。ママは私に対して「お客さん」というより「おしゃべりの相手」として接してくれる。そして、料理を作るとき以外はカ江袋巴(国文学科1年)=文・写真ウンターを隔てずに私と同じソファーに座り、同じ目線の高さでおしゃべりしてくれる。 そういえば、彩菜さんは雨花の料理について「実家に帰ったようで、安心する」と話していた。ママの手料理も雨花を落ち着ける場所にしている要素だ。 雨花に来るお客さんは、大学生から政治家、近隣住民から山梨県外の人までさまざまだそうだ。私や洋美さん、彩菜さんを含む人びとが雨花に惹きつけられるのは、ママのあたたかな接客が雨花を心地のいい場所にしているからだろう。* * * 帰りぎわに、ママと「最近冷えこんできたから、今度鍋しようね」と約束した。「またきてね」と言ってくれるママの笑顔は、とても素敵で、また雨花に行きたくなる魅力がある。ママと同じテーブルを囲んでおしゃべりするだけで、雨花がもうひとつの家のように思えてくる。くり返し訪れることで、雨花が私の「安らぎの場所」になりつつあるようだ。またママとおしゃべりをしに、雨花へ行こう。
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