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40no.118 Dec. 2024坐禅を組んで、ぶ結普門寺の本堂にて、30分間坐禅を行う。朝の涼しい風が心地よい(2024年10月21日)散歩のさいちゅうに普ふもんじ門寺の前を通りかかると、第1月曜日と第3月曜日に毎月開催される「早朝参禅会」の掲示があった。お盆などの行事以外、寺院や坐禅は縁遠いものだと思っていたが、「何どなた方でも参加できます」という記載に興味を惹かれて参加することに決めた。加納希珠(国文学科1年)=文・写真はじめての参禅会日の出前の暗い空のもと、本学から北に15分ほど歩いた場所にある普門寺に到着した。参禅会の開始時刻10分前に本堂を覗くと、すでに6名の参加者のかたが坐禅を組んでいた。入ってもいいのだろうか。緊張して入り口から動けないでいると、住職の山やまざき崎和わゆう雄さん(73)が「はじめて来たの」と声をかけてくださった。優しい声音に緊張がほぐれる。その言葉にうなずくと、山崎さんは坐ざふ蒲を用意してくださった。坐蒲は、坐禅を組むときに座る座布団だ。「坐蒲を一周揉み、正面と後ろに一礼ずつ礼をする。後ろを向いたまま坐蒲に座り、坐蒲ごと半回転して正面を向く。そこから30分間、背筋を伸ばして坐禅を組む」。目の前で実践しながら、山崎さんは一から教えてくださる。本当に「何方でも参加できる」のだなと、私のなかで坐禅へのハードルが下がった。教えていただいた通りに坐禅を組んで深呼吸をすると、畳と線香の香りを感じる。祖父母の家もこんな香りだったな、と懐かしくなった。周りの人の呼吸の音と、朝が来たことを告げるように鳴く鳥の声が、静かな本堂に響いている。余計なことを考えず坐禅を組み続けると、心が落ち着く。30分間の坐禅のあとは、般はんにゃしんぎょう若心経の読経を行う。勝手がわからずにまごついていると、山崎さんや参加者のかたに「この座布団を使って」「このページに載ってるよ」と助けていただいた。人の優しさに触れて、心があたたかくなる。般若心経を読む機会もなかなかない。独特のリズムに苦戦しながらも、言葉の意味を考えて読経することができた。座談会に参加して参禅会を終えて帰ろうとすると、参加者のかたに「このあとお茶するんだけど、よかったら来ない」と声をかけていただいた。参禅会のあとには毎回、時間のあるかたと山崎さんが座談会を開き、お茶を飲んでいるそうだ。ぜひ、と返事をすると、本堂から続く廊下の先にある部屋に案内された。椅子に座ると、緑茶とお菓子をいただいた。朝早くから坐禅を組んだ身体に、温かい緑茶が染み渡る。そもそもこの参禅会や座談会は、いつから行われているのだろうか。疑問に思って尋ね普門寺の本堂にて、30分間坐禅を行う。朝の涼しい風が心地よい(2024年10月21日)縁
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