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8no.118 Dec. 2024本学最寄りのドラッグストアの一角に、野菜やポン菓子が置いてある。ドラッグストアで野菜を見かけることは珍しい。ラベルには「三さんわ輪農園」と書いてある。調べてみると、循環農法を取り入れて野菜やお菓子を作っていることがわかった。循環農法で野菜を作ることにどんな想いやこだわりがあるのだろう。気になって、三輪農園に足を運んでみた。トウモロコシ畑で、英治さんの野菜作りのこだわりを垣間見ることができた。多くの農家はゴールドラッシュという甘くて人気な品種を育てている。いっぽう、英治さんはモチモロコシという品種を育てている。この品種はゴールドラッシュと違って、甘さが少なく、知る人も少ない。しかし、必ず次の年に種として使える。英治さんは、種こそ野菜の命であり、次世代の命である種を食べることが食の本質であると考えているという。ただ人気な品種を作るのではなく、種を残せる品種を使うことにこだわりを持っていた。野菜作りの本質である「命をいただく」ことへの深い感謝と尊敬がひしひしと伝わってくる。﹁草は敵じゃない﹂三輪農園の畑には、たくさんの草が自生している。私の実家の畑では、野菜に栄養を行きわたらせるために、草は定期的に抜かなければならないと教わってきた。英治さんたちはなぜ草を抜かないのだろう。「草は敵じゃない。草はもともと土から生えている。それが自然な状態。それを抜いてしまうと、草と一緒に栄養も抜いてしまうことになっ命をいただく都留市夏なつがり狩にある三輪農園の畑に行くと、秋あきやま山英えいじ治さん(57)と美みわこ和子さん(51)が迎えてくれた。サツマイモの収穫作業をするところのようだ。「雨続きで、やっと晴れて収穫できる天気になったんだ。これから野菜かご70杯くらい収穫するんだ」と教えてくれた。私の実家も農家で、よく農作業を手伝っていた。外での仕事に加え、かごいっぱいに収穫した野菜はかなり重い。この収穫量の多さと大変さが身にしみてわかる。英治さんが畑を案内してくれた。ダイズ、ニンジン、トウモロコシなどたくさんの野菜を育てている。なかでもマコモタケは、秋の高級食材と言われ、中華料理に使われることが多い。いろいろな食べかたがあり、人気なのだという。穫れたてのにんじん。農薬を使わない循環農法によって作られている(2024年10月24日)
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