フィールド・ノート No67
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FIELD.NOTE12約束をしていた午後7時よりも、10分ばかり早く着いた。近くにある富士北陵高校では、運動部が練習をしている。グラウンドに向いた橙色の明かりは、鈴木さんのお宅をぼんやりと照らし出していた。見上げた先には、背の高いホオノキがドンとそびえ立つ。 「いらっしゃい」と案内された応接間。この板間で鈴木さんはものづくりをする。針金でつくった置物や、ゆきま棚と呼ばれる、高さ60センチほどの小さな机が3つ。壁には一期一会と書かれた大きな藍染めの布がかかり、ホオノキの花の芯がヒモでくくって飾られている。片隅にはイスに似た形の薪ストーブ。中央にある分厚い机の板は、鈴木さんのおばあさんが裁縫をするのに使っていたもの。脚をつくったのは鈴木さんだ。 「板に脚を置いただけだから」、柱状の脚を寝かせるか立てるかで高さを調節できる。部屋の中心にどっしりと構えるテーブルのほかにも、鈴木さんのつくったものは部屋のあちこちに飾ってあったり潜んでいたり、〈待機〉していたりする。というのも、人から頼まれてものをつくることがあるからだ。下吉田にある「ポニ」というお店には、手のひらにのる、トタンでできた入れものが置かれています。小屋を取り壊して、いらなくなったトタンを使っているという。いくつも並んだ姿は小さな住宅街のよう。つくったのは鈴すずき木鑛こうじ治さん(67)。本職ではないとのことですが、いったいどんなかたなのでしょうか。「材料」になった家や庭
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