フィールド・ノート No67
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238周年、これから地域のかたや読者のかた、さまざまなかたのあたたかな声が『フィールド・ノート』の8年という月日を支えてくださいました。これからも「歩き、見て、聞く」という基本を忘れずに、目の前の1号1号にしっかりと向き合っていきたいと思います。今後とも、よろしくお願いいたします。新しい一年が幸多きものとなりますように。大桑山の東側、ちょうど「都留自然遊歩道」のある尾根上には、アカマツが生えています。僕が十日市場で渡わたなべ邊宗むねお男さん(80)にお話を伺っているとき、ふと大桑山の古道の話になりました。そのなかで、このアカマツのことを話題に出すとおもしろい答えが返ってきました。渡邊さん曰く、今アカマツが生えているあたりは、昭和35年くらいまでは柴刈り場だったそうです(柴とはナラ類やクヌギなどをいい、柴刈りとはその頭を刈ることです)。刈った柴は田んぼに入れ、肥料にしたといいます。アカマツは柴、つまり肥料には向かないため、刈る人はいなかったそうです。その結果、柴刈りはアカマツの生長を助け、50年近くの月日をかさねて現在も大桑山にあるのです。現在、このアカマツには、リスやムササビが来て、その球果(松ぼっくり)の種子を食べるなどしています。運が良ければ、樹上を移動する姿を見ることもできます。けれど、アカマツの立ち枯れが進んでいるのも事実です。ここの風景も、新しく移り変わっていくのでしょう。人の暮らしと自然とは、ふとしたところでつながっていることがあります。自然と街とを行き来しているうちに、ぼんやりと見えてくるつながり。僕は今そこに、おもしろさを感じています。その一端を、これからも書くことをとおして、人に伝えていければと思います。            (西丸尭宏)自然と街が織りなすフィールド枯れたアカマツの立ち木から、種子が落ちたのか、また新たなアカマツの芽が出ていた(10.10.14)編集部では、皆様からの声をお待ちしております。どうぞ気軽に手紙・メールをお寄せください。〒402-8555 山梨県都留市田原3-8-1 都留文科大学地域交流研究センター 『フィールド・ノート』編集部E-mail:eld-1@tsuru.ac.jp雪上のノウサギの足跡

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