フィールド・ノート No67
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FIELD.NOTE30配を感じて立ち止まる。茂みや樹上、樹木の陰……。あらゆる物音に耳を澄まし、動物の気配をさがす。「怖さ」を感じたら、速やかに立ち去る。出会いをたのしめそうなら、息を潜めて物陰へ。森で聞こえる音は、痕跡と違って、今そこ000の現状を教えてくれる。この「気配」を知るのは出会いのためであり、ときには出会いを避けるためでもあるのだ。気配は「なんとなくいる」という曖昧な感覚で、じっさいに出会うこともあれば、そうならないこともある。動物の気配を感じながら歩けると、森歩きはよりたのしくなる。8月27日。森歩きで、初めて大桑まで歩いた。以前から大桑へと続く道に、動物の濃い気配を感じていたのだ。じっさいに歩くと、遊歩道ではなく古道の森歩きの野帳からツキノワグマが暮らす森第2回今年の4月21日から、毎週「都留自然遊歩道」(以下、森と表記)を歩いている。元坂の馬頭観音から入り、大桑まで歩く(8月27日から。それ以前は楽山公園までだった)。ひとつの場所にかようことを通して感じたことを、3回にわたってお伝えしたい。案内板に残されたツキノワグマの爪痕(点線内)。5本の爪痕がくっきりと確認できる。案内板の場所は左項地図「体毛」と同じ(10.09.29)よう。道は途切れたり、分かれていたり。迷いながら歩いていると、足元に大きな糞を見つけた。自分の手のひらよりも大きな糞。温かくはないが、じっとりと湿っていてまだ新しい。棒きれで糞の中身を確認すると、植物の葉が黄土色に変色してぎっしりと詰まっていた。近くには扁平の足跡があり、縦幅はおよそ12㎝。不明瞭ながら指の跡も見てとれる。直感的に、ツキノワグマの糞だと思った。近くの樹上、倒木の影、茂みのなか……。思いつく、あらゆるところに目を凝らす。ピンと張り詰めた緊張感が、森全体を包む。姿は見えないが、クマの生々しい息づかいを感じた。つい数時間前まで、クマはここにいたのだろう。追えば会えるかもしれない。同じ道を歩いていた「近さ」と、クマに対する「怖れ」が交差する。怖さを含んだ、妙なうれしさがこみ上げてきた。初めて感じる、不思議な感覚ツキノワグマの糞10.08.27場所は地図「足跡(スケッチ)」と同じ最長の部分を測ると、縦16.5㎝、横34㎝

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