フィールド・ノート No67
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7日光が差しこむ窓には板を貼り、部屋の蛍光灯には和紙をかけた跡がある。光を広い範囲に散らしたり、逆にスポットライトを当てたり……と、制作するときばかりでなく、展示するときの光の当て方にも気を使うようだ。 これまでモザイクアートに馴染みのなかった私には、普通にタイルを貼ることとモザイクアートの違いがどこにあるのかがわからなかった。作品をぼんやりと見ていてきれいだな、と思うけれど、並べられた欠片たちがどうしてこんなにも美しいのだろう。 その疑問を投げかけてみると、橋村さんは正方形のタイルをいくつか取りだしてきた。まず、タイルを丁寧に等間隔で並べていく。「これはタイル屋さんの貼り方」。そう言って、タイルを崩してもう一度並べ始めた。今度はタイルを傾けて置いていく。間隔がちょっと近かったり逆に遠かったり、ごちゃごちゃしている。けれどなぜだろう。さっきの綺麗に並べられたタイルよりも活きいきとしているように見える。「リズムがあるんだよね。こうやって何も考えずに置いていけるようになるまでが難しい。気合いが入っちゃうと逆に駄目だったり」 タイルとタイルの隙間からあふれてくる表情は、橋村さんの積み重ねてきた経験と磨き上げてきたセンスによるものだったのだ。 モザイクアートはおもに石やガラスを使う。橋村さんは、ほかに色々な素材を加えて作品をつくり上げることが多い。七しっぽう宝焼きをアクセントとして配置したり、木材を取り入れてみたり。ほかの素材で表現するアーティストと一緒に作品をつくることもある。『 』でも使われている、なかに銀箔をとじこめたガラスは、合作したガラス作家の手によるものだ。 モザイクアートの枠に収まらず、展示する場所に合った作品をつくろうと考えているそう。探求心にも似た自由な発想が、橋村さんの作品に広がりを与えているのだろう。自然の力 どの素材を使うのが好きですか、と尋ねてみた。どんな素材にもそれぞれ違った良さがあるけど、と前置きしつつ「やっていて一番面白いのは大理石だね」と語ってくださった。ガラスは色がすでに決まっているので、そのなかから選んでいけばいい。けれど、自然石になるとそうはいかない。一つの塊のなかにも、色味の違いがある。橋村さんは、その色を石のもつ自然の力だと言う。モザイクに適した大きさに石を割ることは、単純に形を揃えていくだけではない。色をつくることでもある。「割った石も一つの作品になってる」。自分で石を割っていって、自分で色を選び出す。そうやってつくり上げた色を活かすのも、また自分自身。つくり手のもつ並べ方のこだわりやく・せ・によって、作品の雰囲気はがらりと変わる。だから、橋村さんは直接自分の手で素材を貼り付けていくことをモットーにしている。タイル貼りのようにきっちりと並べられたタイル(上)と、モザイクアートを意識して並べられたタイル(下)WA
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