フィールド・ノート68号
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13めて「人とのつながり」を考えるきっかけとなった。私たちは日頃から多くの人と関わり、ときには支え合って生きている。家族や友だち、学校の先生や同じまちに暮らす人たち。誰にだって、身近なところに「人とのつながり」がある。だが、それをはっきり意識する機会は少ないのではないのだろうか。 私は、都留に来て2年が経つが、大学生活を中心にさまざまな「人とのつながり」をもってきた。それをふだん気にしたことはなかったが、同じ興味や関心事をもつ人がつながりあうことは大きな活力を生み出すのではないだろうか。それは「ほしのこ会」の皆さんのように、家族同士が集まり食生活や子育てを支え合い、生き生きしている雰囲気から学べた。この学びは、これから私が「人とのつながり」を深めていく手がかりになった。まった人たちが、何をしたいか考える」と語るのは「ほしのこ会」の代表佐さの野弘ひろえ枝さん。活動に縛られるのではなく、子育てを中心に家族が集まり、手探りしながらやりたいことをやっていく。そんな緩やかなつながりだか釜で煮て軟らかくなった大豆を機械を使いすりつぶしている山口さんと「ほしのこ会」のメンバーらこそ、さまざまな活動に乗り出していけているように映った。山口さんの次女である下村みどりさんは「常識を変えられる場所がここにはある」と楽しそうに話す。「人とのつながり」が生きる励みになるのだと、山口さんや「ほしのこ会」の皆さんと出会い感じた。 マクロビオティックや子育てを中心とした暮らしの知恵や工夫を共有し合うほっこりとした空間。「みんなで集まってやる魅力や雰囲気を子どもに伝えていきたい」と佐野さん。味噌づくりのように年に一度、地域に暮らす人たちで集まり、なにかに取り組める環境は貴重だと感じた。一人で作業に没頭するよりも、誰かと語り合いながらおこなうことで、ずいぶん気持ちの入れかたも変わる。 初めは味噌づくりの取材が目的で訪れた「ほしのさと工房」。工場ではなく、家庭での味噌づくりはどのようにおこなわれているのか知りたいという興味からであった。しかし、味噌づくりの作業から見えてきた「ほしのさと工房」は、地域に暮らすいろいろな人が集い交流を育む場所であった。 山口さんや「ほしのこ会」の皆さんと味噌づくりを通し一日を過ごしたことは、あらた(※)マクロビオティックは穀物菜食を中心とした「健康維持、体質改善、治病」のための食事法。その土地で採れたものをその旬に食べる地産地消や、化学的な加工や精製を加えない自然の恵みをそのまま消費する考え方を根本においた生活を実践する。(『MACROBIOTIQE 』845号、日本CI協会、2008年、より)

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