フィールド・ノート68号
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FIELD.NOTE34道を歩けば、花の匂いに季節を感じ、生命の強さを感じる。私たちが起きているあいだも、寝ているあいだも、花は凛と立ち生きている。富士急行線 都留文科大学前駅の待合室に、本学の学生が生けた、生け花が飾られていた。寒さしのぎに入った待合室はその生け花によって、パッと明るくなっていると感じた。生け花とは、どのような世界なのだろうか。     2月2日私は、都留文科大学華道サークルで生け花を体験した。生け花を教えてくださったのは、華道サークルで指導をしている、志しむら村千ちよこ代子さん。 志村さんに、生け花とは、いったいどういうものなのかを聞いてみた。 生け花とは、四季折々の樹枝・草花などを切って花器(生け花の道具)に挿し、その姿の美しさ、いのちの尊さを表現し鑑賞する芸術であり、日本の伝統文化だそうだ。花を飾るという文化は室町時代より、仏前へ草花をお供えすることから始まった。これが、生け花のルーツ。 明治初期に外国へ生け花を紹介して以来、生け花は、世界共通に知られるようになった。最近流行っているフラワーアレンジメントは、花と花との隙間を埋めるように飾られていることが特徴。いっぽう、生け花は空間を生かし飾られている。茎から葉、花の色や形を生かしお互いを引き立てあい、魅せることが生け花の特徴だ。  「花は物体ではなく、生きている心がある」と、志村さんは生け花の魅力を話してくださった。 志村さんが初めて花の魅力を感じたのは、まだ小学生だった十五夜の日のこと。 母親が団子の横に飾ったススキと十じゅうごやばな五夜花に、ちょうどお月さまの光が差し込んで、子どもながらに、「あー綺麗だな」と大変感動したそうだ。 剣山も花器もなく、ただ一升瓶に飾られているだけではあったが、花の美しさに魅了された志村さん。このときのことは、今でも鮮明に記憶されているそうだ。私は、この出来事が志村さんの生け花の原点になっているのではないかと思った。 一つの花を見て何を思うか。同じ種類の花でも、首の向き、花びらの開き方はまったく違う。そこから感じるもの、花を見てどう生けるかという想像力から感性を磨くことが、生け花の魅力の一つでもあると、志村さんはおっしゃっていた。生け花の  こころ初めての作品テーマ:バレンタイン

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