フィールド・ノート68号
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41すると遠巻きに見ていた女の子たちも、薪割りの列に並ぶようになっていった。できないよ、と呟いていた子が自分の力で材木を2つにした瞬間の笑顔を見ると、こちらまで「やった!」と叫びそうになる。1時間後には、斧を持つのも初めてだった子どもたちが器用に薪を割れるようになっていた。「子どもはこういうの、すぐ覚えるよ。大人のほうがああだこうだって言って考えちゃって上手くならない」 なかには、アカマツのように木目のねじれた木を上手く割るために、どこから斧を入れたらいいか、木目をじっと見つめて考え始める子もいた。何か一つできるようになることで、新しいたのしみ方が生まれるのかもしれない。夜の山にて 冬至を過ぎてだんだんと日が長くなってきている、と言っても、もう午後6時ごろには辺りは真っ暗になる。ナイトハイクが始まった。はぐれないように、2、3人で手をつなぎながら、坂道を歩いていく。途中で林に分け入って、佐藤さんの指示で一人ひとり分かれて林のなかに寝転ぶことになった。私も少し歩いた先の斜面で大の字になる。佐藤さんは「10分だけ何もしゃべらないように」と言った。静かな夜の山のなかで、ただ何もせずじっとする。ふだんの生活ではなかなか体験しないことだ。暗闇に体を横たえて、子どもたちは何を感じているのだろう。 小屋に戻り薪ストーブを囲みながら、佐藤さんがナイトハイクの感想を尋ねる。「星がきれいだった」、「寒かった」。子どもたちの言葉に、佐藤さんは聞き入っている。ときに「いいね!」「そうだよね」などと相あいづち槌をうちながら。 すべての活動を終えたのは午後7時。帰り際に、佐藤さんに「お疲れ様でした」と言われて、ふとそんなに疲れてはいないな、と思った。一日中動き回っていたせいで、体には疲れがたまっているのだろう。けれど、何故だか疲れたという気はしない。うきうきした気持ちが、焚き火の燃えさしのようにまだ残っているようだった。「番長」の頭のなか 「番長」というインパクトのある呼び名はどこから来たのだろう。佐藤さんの思う「番長」のイメージをうかがった。子どもたちと向かい合う佐藤さん(写真中央の男性)
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