フィールドノート69号
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FIELD.NOTE10分かち合う春桜の蕾つぼみがふくらみだすと、屋外に赴くたのしみはもっぱら桜を観察することになった。今までは花が開いたときにしか意識したことがなかったけれど、散歩を続けるうちに枝先へ目を向けるようになっていた。時々足を止め、蕾のふくらみ具合を見たり、満開はいつごろかなと予想してみたりする。いたって簡単な観察ではあるものの、定期的に訪れることで刻々と移り変っていく花のようすがよくわかり、些細でも変化している点を見つけるのがおもしろかった。はじめは、こうして桜が開花していく過程を自分ひとりでたのしんでいるつもりだった。でもふと視線を下ろすと、私と同じように頭上を仰ぎ、桜に見入りながら歩く人の姿がたくさんある。ときには道すがら行き交う人と、お互い視線をおろした瞬間に目が合ってしまうことも。そんなときは少し照れくさいけれど、同じものに魅せられているという実感が小さなよろこびとして湧いてくる瞬間でもあった。「明日はおでかけ日和となるでしょう」。前日の天気予報がいっていたとおり、4月5日は気持ちよく晴れ渡った。空には雲ひとつなく、日差しがとても眩しい。時折、涼しい風が吹き抜ける絶好のおでかけ日和だ。久しぶりにスニーカーを履いて、いざ春をたのしむ散歩に出発。街なかをゆく人通りが多い道をはずれ、ひとり陽のあたる細い路地を進んでいく。道に面した住宅の庭には大小さまざまな花が植えられ、風景に彩りを添えている。冬に歩いたときとは少し違って、街なかはどこか明るい印象だ。野山にはもちろん、街なかにも春は訪れている。暖かい季節になり、外で遊ぶ子どもたちに出会うことが多くなった。「こんにちは!」と挨拶を投げかけながら駆けていくその姿は、春風のようにとても清々しい。なるほど、子どもは風の子、元気な子。彼らの姿を見かけると、こちらまで元気が湧いてくるから不思議だ。「よし、彼らに負けないフットワークで歩いていこう」。そう心に決めながら、週末の散歩は続いていく。散歩に行こう本日おでかけ日和見ごろを迎えたソメイヨシノ(2011.04.13)私の周りには、散歩を実践している人がたくさんいる。歩くことにはどんなたのしさがあるのだろう。暖かな陽気に誘われて、私も散歩を始めてみることにした。
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