フィールドノート69号
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FIELD.NOTE18FIELD.NOTE18フィールド暦サクラの樹に独特の白黒模様をしたヨコヅナサシガメがいた。ただいた00のではなく、20匹以上もが集まり、身を寄せ合っていた。不思議に思い近づくと一目散に散らばってしまった。ヨコヅナサシガメが身を寄せ合っていた辺りを詳しく見てみたが、彼らの餌となるような虫はおろか、樹液すらも出ていなった。では、なぜ身を寄せ合っていたのだろうか。季節は春になったといえども、夜は冷えることがあり、都留の春も例外ではない。ヨコヅナサシガメは幼虫で越冬する昆虫である。集団越冬といい、彼らは何十匹も集まり、身を寄せ合って冬を越す。もし、夜の冷え込みに堪え切れず集団越冬のように夜を明かしていたのだとしたら、暖かいだけではない春の一面を垣間見たような気がした。楽山公園へ向かう途中の土手に、淡い青紫色をし、天を仰ぐ可愛らしい大きさの花を見つけた。小さいがために、周りの草の影が落ち、まるで木漏れ日の中で健気に咲いていた。美しく淡い青紫色を湛たたえるこの花の名前はフデリンドウ。直立した茎の先端に尖った蕾つぼみが付く姿からその名がついたという。春になると筆のような蕾が優しげな雰囲気を纏まとい、その美しい姿を私たちに披露してくれる。ひたむきに咲くフデリンドウの姿を堪能し、立ち上がって周りを見渡すと、彩度の高い緑色の葉のなかに、ちらほらと明度の高い青紫色が顔を出していた。なかには枯葉だらけのところに咲いているものもあり、淡く色づきながらも、個性を主張するような姿にはとても心惹かれるものがあった。オトシブミは、緑が深まる季節に、自分の身体よりも何倍もある木の葉を小さな口と脚を駆使し、切り込みを入れ、畳み、巻くという複雑な作業をこなす。そして、その葉に卵を産みつけ、円筒状のゆりかごをつくる。今回、私は二つのゆりかごを見つけた。一つはオトシブミそのものの名のように葉から切り落とされたもので、本学自然科学棟の近くにたくさんのケヤキの葉で作られたゆりかごが落ちていた。もう一つは、楽山公園の近くで、コナラの葉で出来たものだったが、これは切り落とされず、わざと葉からぶら下げてあるものだった。オトシブミは種によってゆりかごを作る葉や、葉の切り方が異なるという。緑が深まりつつあるなか、いろいろなゆりかごの違いを見てみるのも、春という季節の楽しみ方かもしれない。ヨコヅナサシガメ2011.05.08楽山公園フデリンドウ2011.05.08楽山公園オトシブミの仲間のゆりかご2011.05.08(上)楽山公園(下)自然科学棟付近自然が豊かだといわれるこの都留の春には、一体どんな生き物や植物が息づいているのか。じっさいに歩いて確かめてみた。
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