フィールドノート69号
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22FIELD.NOTE「すりばち池」で産卵するアズマヒキガエル自然に信を置く温かいまなざし●文・写真 北垣憲二(本誌発行人)ダンコウバイの黄色い花が森で目につくようになると私は春の訪れを感じます。ダンコウバイは中屋敷では3月中旬あたりに開花が始まります。しかし、散歩で出会う地域のかたがたはそれぞれ独自に春の訪れを感じておられるようです。◇5月8日、散歩をしていると、苗床の見回りにこられた清水貞一さん(87)と出会いました。昨年は体調が思わしくなく稲作をしませんでしたが、それは60年をこえる農業人生で初めてのことだったそうです。貞一さんにとって春は苗床の準備から始まると言います。「秋まで長いつきあいになるだ。でも今年は少し苗の生長が遅いようだね」。貞一さんは、言葉ではうまく説明できない天候の変化を肌で読み取り、長年の経験を頼りに苗床の準備にかかります。同じ日、畑の作業に来られた中野新作さん(83)にも出会いました。新作

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