フィールドノート69号
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FIELD.NOTE2626FIELD.NOTE生が多い。その多様な存在に気づいたのは2年生の秋。私自身、2年生になってから授業の一環で大豆栽培をはじめていた。都留には「アオハタ大豆」と呼ばれる在来種があることを知り、ぜひ育ててみたいとの思いから、メンバー6人が集った。無農薬と農薬の比較栽培を試みながら、手探りで育てて収穫した大豆は、味噌に加工した。「農」との関わりが深くなった1年間を過ごしているうちに、同じように都留で畑や田んぼで活動をする学生との出会いが増えていった。もともと大学内には畑に携わっている団体があるのだが、ここ数年新たに立ち上がったばかりのものもいくつかあるのだ。静かながら学生のなかで高まっている「農」への熱を感じる。私と同じように、都留に来てはじめて野菜を育てたという人が多く、体験談を交えて思いを共感しやすかった。しかしなぜ、都留の学生は「農」へと向かう人が多いのか。その答えは、もう少し彼らとと高くなっているにも関わらず、たくさんの蟻が茎によじ登り、トウモロコシの甘さを求めていた。ふと足元をみると、周りには蟻の巣がいくつもあった。畑の開墾が生き物を呼び寄せるのだと、なんとなく感じた瞬間である。収穫を終え、家で茹でて食べようと思っていたら、一緒にいた先輩が、「茹でなくてもそのまま食べられるよ」と言う。それはさすがに出来ないなと半信半疑であったが、勧められるままかじりつくと、瑞々しい粒がプチプチと弾けて、口いっぱいに甘さが広がる。トウモロコシといえば、祖父母が夏休みになると毎年段ボール一杯に詰め込んで送ってくれる夏の風物詩だ。そのため、自分でトウモロコシを収穫できた喜びから少し誇らしい気持ちを抱き、この出来事をきっかけに畑とより深く付きあいたくなった。畑や田んぼに集つどう学生たち本学には、「農」に関わっている学「田んぼクラブ」での活動左上:雨の降るなか、苗を一本ずつ手で植えていった(2011.6.12)右下:苗床をつくり、コシヒカリの種もみを蒔いた(2011.4.24)右上:田んぼの一角を囲い苗床をつくるようす(2011.4.24)左下:種もみを蒔いてから2週間後の苗床のようす(2011.5.16)

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