フィールドノート69号
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41寄稿オオイヌノフグリ。小指の爪よりも一回り小さな、淡い青の花をつける道端の植物です。僕が今年一番に中屋敷フィールドで春を感じたのは、2月20日にこの小さな花を見つけたときでした。2月下旬というと、都留市はまだ雪の季節。周りの草木はまだ芽吹いていません。そんなときに道端でオオイヌノフグリが咲いていたものですから、冬と春が混じったような不思議な感覚におそわれたことを覚えています。それと同時に、春の萌きざしを誰よりも早く見つけることができた気がしてうれしくも思いました。この発見のあと、僕の周りで季節が急に移ろい始めました。3月4日には、小屋の前の池でヤマアカガエルの卵塊を2つ見つけました。前日には雪が舞ったほど、冬を抜け切らない気候のなかでのことだったので驚きました。池のなかに卵がゆらめくあいだ、何度か雪が降ることもありましたが、さすがヤマアカガエルの判断は正確なようです。1週間ほどあとにはテングチョウやシジミチョウのなかまなどが舞い始め、3月16日になるとダンコウバイの黄色い花が咲き、中屋敷フィールドは一気に春めいたのです。こうして春になると、僕が気になり出すのはジョウビタキやカシラダカ、ツグミといった冬鳥のことです。春は彼らが北へと旅立中屋敷フィールドにかよい始める5年前まで、ウグイスのさえずりやソメイヨシノの開花というものが春を教えてくれる出来事でした。しかしかよい続けるうちに、春にもいろいろなかたちがあることを知りました。今年はとりわけ足繁くかよったおかげで、冬から春への移ろいがより鮮明に見えてきました。僕が感じたさまざまな「春のかたち」をご紹介します。●(にしまる・たかひろ)今春に本学を卒業。昨年度は、緑表紙の野帳を片手に都留の山へとかよい詰め、「森歩きの野帳から」を連載道端からひらいた春中屋敷からこんにちは●西丸尭宏文・写真○右上にあるタイトル下の写真は、カシラダカつ季節。僕は歩くたびに彼らの旅立ちはいつだろうかと胸を躍らせていました。まだかまだかと足を運ぶのですが、結局3月のあいだは渡る気配を見せませんでした。4月16日、約2週間ぶりに中屋敷フィールドを歩くと、ツグミの姿はあるのですが、ジョウビタキとカシラダカが見当たりません。どうやら今年はこの2種のうち、どちらが先に旅立ったのかを見逃してしまったようです。この日、都留周辺ではソメイヨシノが満開。イワツバメも飛来していました。これらの出来事と冬鳥の渡りとのあいだに時期的な関係があるのか。年をかさねながら観察していけば、春という季節がよりいっそうたのしいものになりそうです。ヤマアカガエルの卵塊オオイヌノフグリ
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