FN70号
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FIELD.NOTE12 7月1日午後4時ごろ、都留文科大学から原動機付自転車でおよそ30分くらいかけて毎年飛び込みに行く滝へ向かった。鹿留キャンプ場を通り過ぎてさらに上っていくと、徐々に気温が低くなっていることに気がつく。 滝へ出ると、大きな音を立てて水が流れている。水に手をつけるととても冷たくて、長い時間手を入れていたら痺れそうだ。もう少し気温が上がったら気持ちよく感じるだろう。 目を閉じて耳を澄ましてみれば、滝から落ちる水の音とは違う水の流れる音がしていることに気がついた。ゆったり下の方を流れる水の音だ。どこか遠くのほうでヒグラシの鳴き声も聞こえた。それぞれが発する音は雑音のようにも聞こえる。しかし不快に感じることはなく、その場を包む静かな雰囲気に溶けて混ざって不思議な音の調和をつくっていた。 滝の方から送られてくる風と湿気を含んだ空気が私にまとわりつく。水しぶきが服をびしょびしょにしてしまわないかと心配になるほどだ。辺りを見回せば大きな岩がいくつもある。コケや倒木がなにやら神秘的な雰囲気私の所属するサークルでは毎年、夏になると滝に飛びこむイベントがある。イベントといってもちょっとスリルのある水遊びだ。いつもは大勢で遊びに行く鹿ししどめ留川上流にある滝に、今回は一人でふらりと行ってみた。毎年飛び込みに行く鹿留川上流にある滝。湿気が多く、周りの岩はどれもぬれている滝へ行く

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