FN70号
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FIELD.NOTE14照りつける太陽がまぶしい7月3日の昼下がり、羽野さんがお住まいの都留市宝地区を訪ねた。お宅は二階建ての大きな造りで、見上げるとどっしりとした構えに圧倒される。玄関へ入り、左手に一段高く視線を移すと奥へ居住空間が広がっていて、落ち着いた色調の梁や、太くたくましい大黒柱が目をひく。やや低く感じる天井や大きな神棚なども特徴的で、この家のなかにあるもの一つひとつがとても興味深い。本学の卒業生である羽野さんがこの家に住みだしたのは2年前のこと。大学を卒業してからしばらくはアパートに住んでいたが、学生のときこの家の大家さんと知り合ったのが縁で借家するようになった。その後、大学の先輩である西にしぼり堀涼りょうこ子さんと後輩の渡わたなべ邊理りえ恵さんに声をかけ、かつて同じ吹奏楽部で活動していた三人がこの古民家で一緒に暮らすことになった。今年の春からは編集部の石川あすかさんも一緒に住んでいる。風通しのよさ古い家はどことなく涼しい。以前からそんな印象をもっていた。羽野さんにこの家のよいところを尋ねると、やはり夏の過ごしやすさという答えが真っ先に返ってくる。「夏は快適。いま、一番いい季節ですね。涼しくて風通しがいいので。夏はこの家のよさを味わう感じです。そのぶん冬は熱がこもらないので寒いですね」 さすがに真夏の一番暑い時期には扇風機をまわすそうだが、それでもこの家で過ごす夏はとても快適だという。どうやら風通しのよさということが涼しさを感じる大きな要因となっている都留市内には古いたたずまいの家々があちこちに残っている。周りの風景になじんだ外観を眺めるのも楽しいけれど、その内部も見てみたい。そんな期待が膨らんでいたおり、編集部と長年付き合いのある羽はの野幸さちさん(28)が築百年ほどの古い民家を借りて住んでいると聞き、お宅に伺わせていただくことになった。お話を聞かせていただいた羽野幸さん(左側の女性)と西堀涼子さん南側に面した家の外観古民家の涼

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