FN70号
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17特集:涼む玉川公園 7月13日撮影 つるぶんかだいがくまえ やむらまち  つるしあかさか二の側公園楽山公園城南公園白木山公園玉川公園139711楽山公園 7月27日撮影 訪ねた公園MAP もある、今回訪ねたなかで一番広い公園だった。グラウンドの隅には木陰となっている一画があり、ベンチも7、8台あって、運動場を見渡せる位置にある。この日も30℃を超えるじりじりとした暑さで、枝葉がおとすシルエットに包まれて水分補給をするとほっとした。ときおり吹く弱い風が、木の葉をやさしく揺らすシャワシャワという音が心地良く、日々誰も訪れない時間もこんな空間・瞬間が存在していると思うと、何だかもったいなく感じられた。       *  7月27日、午後3時に友人と出発。楽山公園に散歩に行く。授業で何度も歩いた場所だったけれど、季節とともに雰囲気も大きく変わっていた。入ってすぐ、20〜30mほど続く見ごろの青紫のアジサイに目を奪われる。そして、散策しているあいだ中ずっと夏を感じさせてくれたのが、セミの鳴き声だった。アブラゼミのほかに、ヒグラシも鳴いていた。また、春と変わらず生い茂る木々は日差しをさえぎってくれて、夏を目と耳で感じながら、爽やかな気分で散策することができた。                      やさしい、すずしい空間 公園に行く、というと小さいころはひたすら動き回って遊ぶことを楽しんでいた。けれど、今回は、いろんな公園を訪れて、夏の公園の魅力は、木陰から眺める公園の風景そのものかもしれないと思った。冷房のよく効いた屋内からまったく違う世界のような灼熱の戸外に出て、落差に麻痺しそうになりながら、公園で木陰を見つけ、ひと休みする。子どもたち、ブランコ、散歩する人、手入れの行き届いた植え込み……いろんな要素が作り出す空間は、きっとどこにでもある風景だけど、少し離れて眺めていると、その穏やかさに気づいて、すごく心が和んだ。 家電製品の与えてくれる無機質で均一な涼に慣れていると、木陰から得る涼はささやかで物足りないように感じるかもしれない。けれど身を置いているうちに、ときどき風が吹いたり少し陰ったりしてできる、むらのあるすずしい空間は、自然のなかに溶け込んでいるような感じがして居心地が良くなってくる。 2年前はすずしくなってからの散歩だったが、今回は炎天下のなかだったため、自分にとっての公園の魅力のほかに、自然のなかに「すずしさ」があることを実感できた。どちらも最近の自分にとってひどく非日常的なものになっていたと思う。今回の体験をきっかけに、今年はスイッチを押すだけではない、もっと能動的な「涼」み方を楽しみたい。       平井のぞ実(英文学科3年)=文・写真

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