FN70号
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FIELD.NOTE28「こんな店があるんだ」この思いが私と三さんちょう町商店街の出会いだった。 私が都留市駅の近くにある三町商店街を知ったのは、本学の「フィールド体験」という授業でいった「宝の山ふれあいの里 ネイチャーセンター」からの帰り道。 今年の春に都留へやってきた私は、都留についてまだあまり詳しくない。地元とは違った空気や雰囲気に慣れようと必死な状態で、街を見て回る余裕がなかったからだ。けれど「宝の山ふれあいの里 ネイチャーセンター」から大学に帰る途中、バスのなかからぼんやりと外を見ていた私の目に、ある光景が映った。「……商店街だ」商店街は私にとって馴染みのあるものだ。私の地元にも商店街がある。そして私の「初めてのおつかい」は、近所のおばちゃんが経営する小さな商店(といっても幼いころの私にとっては何でも揃う魔法のお店だった)で卵を買ってくることだった。このように、私にとっての商店街は、買い物のしかたを学んだ場所でもある。 さっそく三町商店街にいってみた私を包んだのは、懐かしい空気だった。商店街はぶらぶらしているだけでも、新しい発見があって、楽しい気持ちにしてくれる。見たことのない野菜を見つけたり、「このお店素敵だなぁ」と思って眺めてみたり、そんな風に歩いて回り楽しい一日が過ごせた。        ◇ 何回か三町商店街を訪れてから授業で商店街について学ぶ機会があった。その時に商店街の現状を「ナカムラ薬店」の金巻さんにうかがった。 三町商店街は横よこまち町、田たまち町、栄さかえまち町とで構成された自然発生的な商店街として発展してきたのだが、一度、昭和24年5月13日の「谷村大火」で焦土と化したらしい。そこから人々が力を合わせて復興を続け、今の商店街となった。「谷村大火」のさい、西涼寺の儀ぎしゅういなりしゃ秀稲荷社だけが焼け残り、それが人々の心を捉え5月13日の祭典が始まった。「十三」を「とみ」と呼び、「十とみのいち三の市」として昭和34年4月から商店街は毎月13日に共同大売出しをおこなっている。商店街と私駅から見た三町商店街駅前通りの街灯

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