FN70号
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私は昔からあつさが苦手で、毎年夏が来ると、「今年はどうやって乗り切ろうか」と考える。今年はとくに、例年に比べて早い時期から夏日が続いている。こうもあつい日が続くと、何をやるにも億おっくう劫になってしまう。それでも今年はいかに電気を使わず過ごそうかと考えていた時ふと、以前釣りに行った都留市の大沢や大おおだるみざわ旅沢のことを思い出した。今年は自然のなかで涼んでみよう。そう思い、都留市鹿ししどめ留の大沢に二度、足を運んだ。   持田睦乃(社会学科3年)=文・写真 この日は日差しこそ強くないものの、都留のまちは朝から蒸し暑かった。大沢に到着し車を降りると、まず地面の柔らかさを感じる。沢の近くにあるキャンプ場の駐車場なのだが、コンクリートが敷かれていないためか照り返しも強くなく、土がむき出しの地面が、地上の熱を少しだけ和らげてくれているようだった。 沢のあたりでは、以前釣りに来た時と比べて軽装だったこともあり、空気の冷たさをいっそう感じた。気温がそれほど上がっていなかったので、少し肌寒いくらいだ。水に手を浸けてみると、思っていたよりずっと冷たくて、手を出してもしばらくひんやりとした冷たさが手に残っていて心地いい。もっとあつい日に来たら、よりこの涼しさを楽しめるだろうと思った。◆ それから2週間後の7月10日(日)再び大沢へ涼を求めて向かった。日差しが強く、気温も高い。絶好の涼み日和だ。前回と同じく、駐車場に降りるとその地面の柔らかさに驚いてしまった。なぜこんなにも柔らかく感じるのだろうと不思議に思って足元を見てみると、小さな雑草が点々と生えているのがわかる。雑草がクッションになって、柔らかさを感じさせているのかもしれない。 沢まで降りていくと、駐車場との気温差を顕著に感じた。水量は変わらず少ないが、やはり冷たいのだろう。沢の流れが空気まで冷やしているようだ。岸辺には木がたくさん生えていて、木陰を作り出している。きれいな緑色をした木の葉を通してそそぐ陽の光は、そのままより柔らかいように感じられた。 大沢を訪れたのはこれが三度目なのに、毎回新しい発見がある。訪れるたびに風景を見る視点が変わっているようだ。一度目に釣りをしにきた時は、「魚に気づかれないように」と意識的にかがんでいたので、手もとや足もと6月26日(日)、朝8時ころに大学を出発し、大沢へ向かった。本学から車で15分ほどのところにある大沢には以前69号の取材をかねて釣りに行ったことがある。小さな沢で、水の量も大きな川に比べて少ないが、風景を楽しみながらゆっくりするにはちょうどいい場所だ。まちをはなれて涼感じる

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