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種子を散布しているのです。都留市の種子散布の担い手はヒヨドリとメジロ、ジョウビタキなどですが、なかでもヒヨドリが一番よく貢献していると思われます。 上の写真のイヌツゲとガマズミの稚樹は、コミュニケーションホールの北側にありました。北側にはカシ類が植えられています。このカシ類に止まった鳥が落としたフンのなかに種子が入っていたのでしょう。また、種子はフンとして落とされる以外に、吐き戻しによって散布されることもあります。 このような鳥類の種子散布からキャンパスの植生を見ていくことは重要です。コミュニケーションホールの北側では、キャンパスには生えていない植物の稚樹もあります。かなり遠くから運ばれてきたものと思われますが、これがもし園芸種でしたら問題です。じっさい、大学の裏山では園芸種の稚樹も見つかっています。こうした意味でも、いま、どのような稚樹があるのかを記録しておく必要があります。稚樹の記録を取ることと並行して、木から種子を採集するとより一層理解が深まります。たとえば、アオキの実はほとんど果肉がないため、鳥類にとっては食べても実(上)と稚樹(下)*左からアオキ、ガマズミ、イヌツゲ栄養価は低いでしょう。クサギは花が咲いた後にガクが赤くなり、中央に黒っぽい実をつけ、この配色で鳥類をおびき寄せているといわれています。 目の前の道をリスが横切ったとか、セイヨウタンポポで吸きゅうみつ蜜するツマグロヒョウモンを見たとか、散歩を続けているとこうした「わかりやすい出会い」がよくあります。けれども稚樹の場合は、少なくとも稚樹は見え隠れしませんので、そこにあることに気づかないといけません。気づいた後の噛みしめるような楽しさ、そこで発芽するに至った過程を想像する時間。物事が直接見えないがために、その経過を考える余裕が生まれます。 いつもの風景のなかに、ふだん見過ごしがちなものを見ること、思いを巡らすことは、身の周りの自然とは何かを察知することでもあります。ヒヨドリの大切な仕事は、自分が生きることによって、ほかのものも生かしていること、といえるでしょう。本当の共生とは、お互いが無意識のうちにしている、このような行為なのではないでしょうか。とる15
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