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フィールド・ミュージアムでは、いまの自然の動向や人びとの暮らしを記録にとり、残すことも大切な取り組みの一つと考えています。生きものの暮らしからもその時の私たちの自然との関わりのありようが見えてきます。また多くの人の目を通して記録していくことは、より注意深く地域を観察する契機になります。今回は、本学の2号館に毎年越冬に訪れているテントウムシについて泉いずみ桂けいこ子氏に寄稿していただきました。また砂すなだ田真まさひろ宏氏にはキャンパスのモグラとの遭遇について報告していただきました。11月13日、本部棟前の広場を歩いていると、落ち葉のガサガサという音が聞こえてきました。側そっこう溝のなかからです。おそるおそるなかを覗くと、全身を毛に覆われたものがいます。私はすぐにそれがモグラだと分かりました。8月にも自然科学棟の前でモグラを見つけていたからです。ふと顔を上げるとコンクリートの隅にもう1匹。それらは今年、2匹目と3匹目の出会いとなるアズマモグラでした。 毎年冬になると、この広場にはモグラ塚という小さな土の山がたくさんできます。私にとってモグラは、モグラ塚を通して間接的にしかその存在を知ることのできない生きものです。なかなかお目にかかることはありません。4ヶ月のあいだの3匹のモグラとの出会いは本当にうれしいことです。しかし、いつもは地中で生活しているモグラがなぜ地上に出てしまうのでしょうか。3匹のモグラを見ていると、コンクリートの上に迷い出たり、側溝に落ちたりすると元いた場所に戻るのは容易ではないようです。コンクリートと土の境に沿ってモグラが地面を掘った跡がありました。思うように進めないモグラはうっかり地上に出てしまったのでしょう。 このモグラとの出会いは、直接見ることができなかった生きものと出会えた貴重な経験でした。生きものがすぐ隣で生活している、私たちと生きものとの距離が近いキャンパスだと感じた反面、人工物に阻はばまれた生きものの姿からこれからどのように付き合っていくべきか考えさせられました。(砂田真宏 初等教育学科3年)モグラが生息していたキャンパスの広場。モグラ塚が見える(2011年11月13日)1匹目のモグラ。コンクリートに行く手を遮られ移動できない(2011年11月13日)秋から冬にかけて草原などで見られるモグラ塚。モグラ1匹で、1年に数百キログラムの土を地中から地表にかきだす。モグラはトンネルを掘り、地中に空気を入れ、土を地表に出してかきまぜる働きもしている(静岡県朝霧高原にて)モグラとテントウムシFIELD.NOTE16
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