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2110月22日、待ち合わせの時間に「リエール」にいらっしゃったのは、チューリップハットと口髭が印象的な原はら健けんご吾さん(52)。原さんは、30年近く油絵を描きつつ、最近は自然木や廃材でものづくりもしている作家だ。「再生」 原さんは「再生」という言葉を掲げて活動をしている。ものづくりの材料のほとんどが自然木から取ったり、建造物などを解体して出た木の廃材をもらったりしたものだ。知り合いから「廃材があるから取りに来て」と連絡があると、使う予定がなくても、とりあえずもらいに行くという。「もらっても使わない廃材とかは、家の薪ストーブで燃やせばいい。燃やして灰になったものは、畑の肥料にする。だから捨てるものはない」身を乗り出して力強く言い切る姿から、それが原さんの信念のひとつなのだと感じた。 また、原さんは材料そのものの味を大切にしている。ニスを塗ったり、ヤスリで必要以上に削ったりすることはあまりしない。原さんお手製の、ローリエの木からつくったピンがある。「リエール」のお店の前に植えられているローリエの枝を剪せんてい定して、適当な大きさに切り、穴を開けてピンを差し込んだものだ。穴に接着剤等は使っていない。 廃材を使うのも原さんのこだわりのひとつ。切ったばかりの木は暴れる(伸縮する)ので、落ち着くまで乾燥させなければならないという。廃材だと何年も前に切られた木なので、いい感じに落ち着いているし、乾燥もしているという利点があるらしい。それに、元はなにかの一部だったこともあり、廃材の一つひとつに今まで材として歩んできた道のりがあり、それぞれの持ち味が違うのだ。 原さんが考える「再生」には、廃材や自然木からものをつくることで、これまでその木々が辿ってきた道のりの上に、違う活かしかたという新しい道をひらく意味があるのだろう。いらなくなったから終わり、というわけではない。コーディネート 油絵を描いていた原さんが自然木や廃材を使ってものづくりを始めた出発点は、額縁をつくったことにある。描いた絵に似合う額縁が欲しいと思った原さんは、額縁も自分でつくったほうが納得のいくものができると考えたのだという。「絵か額縁、どちらかが目立ったら、せっかくのものが活かせなくなる」とおっしゃる原さんは、ものづくりをするとき、作品を「コーディネート」するという意識が強い。そう表現する感覚がなかった私はどういう意味なのかと尋ねた。作品名「釜中にあそぶ」ローリエの枝からつくったピンとる21

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