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前編FIELD.NOTE32組合再生への兆し林業と聞いても、どのような仕事であるのかイメージしにくい。都留は山に囲まれた土地だが、どうやって手入れをされているのか気にしなくても暮らしていける。しかし、見えないところで、「林業を日のあたる産業にしたい」と、林業を生なりわい業にしている人が都留にいる。今回インタビューをした南都留森林組合参事の小林さんだ。 森林組合とは、山の所有者が組合員となって出資する協同組合。南都留森林組合では、おもに都留市と西桂町、道志村、それに旧秋山村(現上野原市)の民有林を中心に山の整備をおこなっている。 事務所は都留市法能にある。大学から自転車で約15分。なかに入ると、林業に関する書類や作業現場の地図などが目につく。長く林業に携わっているのだろうと思い、小林さんと対面したが、小林さんはなんと2年前に森林組合に入ったばかり。小林さんだけではない。ほかの職員もほとんどが同期という。森林組合は昭和58年に4つの森林組合が合併し今の形になるが、それ以降、赤字が膨らみ厳しい経営が続いていた。そのため、2年前に職員を公募し、体制をゼロから仕切り直したのだ。もちろん、林業のベテランが2人いるのだが、そのほかの職員はみな素人。さまざまな業界から心機一転、林業に飛び込んだ人ばかりだ。 新体制後の経営状況は徐々に回復。そこには、小林さんの素人としての感性とこれまで培ってきた経験が生かされていた。 「正直言って、またかと。僕そんなことばっかなんですよ、今までの人生のなかで」と、これまでの人生を振り返る小林さん。これまで、ゴルフ場や家具の卸問屋など、廃業を迫られた事業の立て直しを図る仕事をしてきたそうだ。その経験を買われ、入社して3ヶ月で参事に抜擢されたというわけだ。 そもそも小林さん、当初は一次産業にまったく関心がなかったという。けれど、大月市に引っ越してきて、家族のことを考え身近に職を探すなか、偶然、森林組合で職員を公募していることを知った。1年間、自宅の田ん林業を日のあたる産業に。インタビュー 南都留森林組合森林組合の事務所(2011.12.4)都留の山のことを仕事として関わっている人から迫ってみようと、10月25日に南都留森林組合を訪れました。今回は、南都留森林組合参事の小こばやし林卓たくや也さん(40)の林業にかける思いに注目しました。いったい、都留ではどのような林業が展開されているのでしょうか。2回にわたり森林組合についてお伝えします。

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