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店内に入って、一番はじめに目につくのが、30種類ほどの具が二段に分かれて並んでいるガラスケース。そこから好きなものを選ぶと、その場でおむすびを作ってもらえる。「はらす」や「なす味噌」が人気で、若いお客さんは「かつ」や「じゃんぼえび」などの揚げ物を注文することも多いそう。数種類注文してみたが、どれも美味しそうで目移りしてしまい、選ぶのにとても時間がかかってしまった。個人的にははじめて食べた「わさび菜」が、香り豊かで塩気もちょうどよく、とても美味しかった。創業以来20年間、「おむすび」というシンプルな食べものひとつを看板にしてきた。地元の人々を中心としたたくさんのお客さんが訪れる理由のひとつは、具の種類が豊富であることではないかと思う。鉄治さんが一番こだわっていることが、お米をはじめとした、素材の品質であるそうだ。もともとお米屋さんを経営していた藤野さん夫妻が選び抜いたのが、新潟県産の有機栽培のコシヒカリ。たらこや鮭は北海道産、おむすびに巻く海苔は兵庫県産のものが使われている。おかずとして売られているコロッケの材料のじゃがいもや、この日並べられていた山菜おむすびの具は、地元で採れたものだ。毎年一度は産地に出向いて、試食し吟味して仕入れ先を決めるという。おむすび屋の開業を決めた1991年、美津子さんは札幌の同業者のもとで、おむすびの握り方を修業したそうだ。見慣れないかたちをしたおむすびも、「おにぎり」ではなく「おむすび」と看板に掲げているのも、この同業者の影響であるという。     ガラスケース横には、数種類のお弁当やお惣菜が並べられている。唐揚げや卵焼き、野菜の煮物など、家庭料理の定番といえるも都留市禾かせい生にある「おむすびのおおみや」のおむすびを食べた。米はふっくらとしていて、その一粒ひとつぶの食感を味わうことのできる、平たい太巻きのようなかたちのおいしいおむすび。独特のかたちとおいしさの秘密を知りたくなり、10月19日、お店を営む藤ふじの野鉄てつじ治さん(59)、美みつこ津子さん(56)夫妻のもとを訪ねた。おむすび屋さん  調理場に立つ鉄治さん。混雑時もてきぱきとおむすびを作る家庭の味FIELD.NOTE34

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