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FIELD.NOTE36写真屋という仕事 古屋さんが写真屋を始めたのは、平成10年1月16日。コンピュータや画像を加工することが好きでこの店を開いた。そのころ古屋さんは40歳。それまでは、親から引き継いだパン屋を経営していたが、40歳は人生の半分であり、これからは自分の好きなことをしようという思いがあった。そしてパン屋の二軒隣にあるお店で、写真屋を始める。2年前まではなんと、写真屋と同時にパン屋も続けていたそうだ。 「お客さんの思い出や気持ちを、大切にしている」。そう言って古屋さんは微笑んだ。写真は人々の思い出であり、その思い出をあつかうのが写真屋なのだ。 「もし家が火事になった場合、一番先に持ち出したいものが写真だね。それはたった紙切れ一枚かもしれないけど、なかには大切な思い出がこもっているんだ」 この考えは、写真屋を始める前から自然ともち始めたそうだ。思い出という付加価値が、写真をさらに大切なものにしている。写真に込められた思い出は、色褪せることがないと私は思う。人と人とのかかわりを大切に 取材中、何度かお客さんが訪ねてきた。そのうちの一人は、古屋さんがおっしゃるには1年ぶりに来てくれたそうだ。お客さんの名前はもちろん、そのかたが最後にいつ来ていたかまで覚えていることには驚いた。古屋さんが近況を尋ね、会話が弾む。仲良く談笑すを店主の古屋健一さん思い出あつかう人都留市上谷に「photopal」という写真屋がある。本学で写真部に所属している私は、これまでに何度かお店を訪ねていた。店主である古ふるや屋健けんいち一さん(54)は、いつも気さくに話しかけてくださる親しみやすいかただ。話をしているうちに、もっとこの人のことが知りたい、仲良くなりたいと思い、10月7日に思い切って取材をさせていただいた。

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