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 中屋敷フィールドで作った小麦は、まいとし上野原市の小俣トシコさん(84)にお願いして小麦粉にしてもらっている。小俣さんは精麦に来た人の名前、その人がどこから来て、どのくらいの量を持ってきたのか、などを一冊のノートに手書きでまとめている。このノートは1990年の9月から書かれていて、あちこちから来た人の名前が並ぶ。小俣さんいわく、匂いの良くない麦にはクサイと書き、乾ききっていないものは製粉できないからと持ち帰ってもらうのだそう。 小俣さんのノートには本誌で初めて麦を持って行った日付けも記されていた。今年の出来はどうだろう。小俣さんは麦の粒が入った袋に手を入れ、片手で小麦をすくう。こするようにして一粒ひとつぶを四方へ散らし、よく見て香りを嗅ぐ。少し冷たくて湿った感覚のする小麦。鼻を近づけると、ほのかに麦の香りがした。「まあまあじゃないか。畑に植わっているときに麦が倒れて水につかったんじゃないか」。小俣さんにそう聞かれたけれど、麦刈りの時に麦はしっかりと立っていた。思い当たることと言えば、畑近くの小屋にゴザを敷いて干しているさい、台風がきていたことくらいだ。大型の台風だったから、小屋のなかに湿り気が入っていてもおかしくない。とはいえ、その台風が麦の出来に影響したかどうかの確信はない。 中屋敷では、畑でとれた麦の粒のうち来年に播く分だけ製粉しないで残しておく。「3年同じところで作ったら畑を替えるといいよ」。3年間、同じ畑に同じ麦を作ったら麦と畑の組み合わせを替えると良いそうだ。たとえば、いつもの畑で作っている麦は別の畑に播いて、別の畑で作った麦をここの畑に播く、ということ。二毛作をしているいつもの畑に加え、今回はそばにある小屋の正面にも麦を播いた。この違いが麦にどう影響するか、たのしみである。      (石川あすか)来年に向けて麦播き精麦麦づくりプチFiled Note News■ 大学入り口にてトチの実拾い (9月10日)  ■ 秋の実探検隊(10月1日)■ 編集部写真撮影コンテスト(11月2日)■ 宗男さんにいただいたさつまいもで スイートポテト作り(11月6日)■ 駅の展示替え (11月9日)美容室「U・B」発行のフリーペーパー『月刊カミカミ』14号。本誌編集長3人のインタビューが載っています。郵便局など、市内各所でご覧いただけます。            (11月29日) 11月6日、少し肌寒い陽気のなか、来年に向けての麦づくりがはじまりました。渡わたなべ邊宗むねお男さん(80)に指導してもらいながら耕した畑からは、やわらかい土の良い香りがします。畑を耕し、麦や肥料を播いていくうちに寒さなんか忘れて夢中になり、あっという間に時間が過ぎていきました。少し播く時期が遅くなってしまいましたが、この冬を無事に越して、来年良い麦がとれるようにと願って播きました。今回は敷地を広げ新しい畑にも播いたので今後の成長を見るのがたのしみです。 (小佐野めぐみ)2011.11.6 麦播きのようす)『月刊カミカミ』の取材を受けました 2011.10.29麦をすくう小俣さん45

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