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FIELD.NOTE8魚の骨を取るなんて、やってみるまでは簡単なことだろうと思っていた。だがじっさいは文字通り、骨が折れる作業だった。魚の骨というのはとてももろくて、丈夫そうに見えても少し乱暴に扱うとすぐに折れてしまう。 サンマ、アジ、タイと三回挑戦したのだが、サンマとアジは身をほぐしていくうちにどんどんとかたちが崩れていってしまう。途中まできれいに残せていたアジの頭部も最後の洗浄のときにぼろぼろと崩れてしまった。 三回目、今度こそは頭部だけでもきれいに残そうと気合いを入れて買ったタイ。骨が硬そうで、サンマやアジに比べて頭も大きい。意気込んで作業を始めたは良いものの、やはりタイもサンマやアジと同じく、少しでも気を抜くとすぐに骨がぽろっとかけてしまう。それでもどうにか頭部をきれいに残すことができた。きれいにできた標本はこれからさらに洗浄を重ねて、標本箱に並べてやっと完成になる。もう少し時間がかかりそうだが、でき上がりが非常に楽しみだ。 ちなみにどの魚もほぐした身はしっかりいただいた。どれも脂がのっていておいしく、自分の小さな博物館がほしいと思った。きれいに資料が並んでいて、あとで自分の勉強にも使えるような。夏はセミの抜け殻を集めて、どのセミか調べて、小さな標本箱に並べたこともあった。セミの抜け殻が姿を消した秋は何をしようか。そう考えていたときに、「食べた魚の骨とかはどう?」と勧められた。それはおもしろそうだ。最初はすごく単純な理由で始めた魚の骨格標本づくり。思っていたより難しく、そしてとても面白い作業だった。                             持田睦乃(社会学科3年)=文・写真小さな博物館づくり ―食べた魚の骨格標本―上からサンマ、タイ、アジ

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