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道祖神は辻に立てられ、悪いものが入ってくるのを防ぐ。旅の安全を守る神、五穀豊穣の神であり、「村の守り神」だ。小正月の道祖神祭りでは、その依り代として大きな「飾り」(梵ぼんてんざお天竿、ご神木などという)を立てる。一年の健康や豊作、子孫繁栄など、さまざまな願いが込められる。どうしてこのようなものを立てるのか。「飾り」を見つけると、一体これは何なのかという驚きと、よく分からないものへの畏敬の念が湧くとともに、それを立てる人々の思いが知りたくなる。何かはっきりとした御利益があるわけではない。むしろこれだけ大掛かりなものをつくるのは大変なことだろう。それだけに、そこへ向けられた思いに強く惹き付けられる。かたちに込められた意味を解くことは、その思いを知ることにつながると考えていた。けれどもじっさいに調べてみると、さまざまな意味づけがなされていることを知ることはできたが、なぜそれをするのかが分かったとはいえなかった。そこには意味づけからこぼれ落ちる、人が寄せるかたちのない思いがある。ひあるときふと目に入る、街角に現れるさまざまなしるし。何かの儀式なのだろうけれど、その色や形以外は何もわからない。異世界との接点、目に見えないものへの信号。そんなふうに見えていたものが、その素性を知ることでまた違ったものに見えてくる。小正月の前後、あちこちに現れる「飾り」について知りたくて、探しに行った。縄を張ってつくられた5重のひし形は、神様のたくさんの「目」を表しているという。小正月の「飾り」香西恵(社会学科3年)=文・写真十日市場三角形の飾り「ヒイチ」:火打ち袋のこと。火除けの意味がある。山に行くときは山の神さまが怒るので、マッチではなく火打ち袋を持っていった。藍染の布でつくった小さな三角形の袋。なかに火ほくち口(もぐさと火薬をまぜたもの)と火打石(石英)を入れ、袋の端に取り付けられたひもでくるくる巻き火打ちがねをはさんでとめた。藍には、マムシを寄せ付けないことから魔除けの意味がある。/バケツやかご:本来はなく、最近取り付けるようになったものだそうだ。「よいものがたくさん入るように」という意味が付けられているようだ。4251【図中の番号は解説と対応】十日市場 1月9日撮影 ガソリンスタンド前と小篠神社の広場の2ヶ所21FIELD.NOTE12「ヒイチ」
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