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青池恵津子(都留市下谷在住)=文(※1) 『町場の近代史』 、松本四郎著、岩田書院、2001(※2) 『地域交流センター通信』No.11、 「図書館のあゆみ展」、2007(※3) 同上 No.13、 「人・町・自然をつなぐ地域交流研究 ブオーノ写真展示」、2008山本史雄さんと山本書店のもう一つの顔のバイク(写真6)通りと通りに平行して走る国道139号に沿う一帯は、かつて「南都留郡」の郡役所が置かれた「谷村町」の中心で、いわゆる「町場」としてにぎわっていた(※1)。大正初期には町内に「床屋文庫」という本の貸出システムを備えた理髪店が7軒あったと記録に残り、昭和初期には町民有志のよびかけで現在の市立図書館に連なる『(私立)谷村図書館』がつくられた(※2)。そして短期大学を経て1960年に四年制となった都留大が昭和40年代に現在の地に移転する以前は、高尾町通りの先、現在の市役所の敷地内に大学があって、この通りを学生たちが行き交っていた。長く都留大生の学びを支えた山本書店の記憶を何か形で残したいと思った私は、思わず「お店の看板を下さい!」と口に出しそうになった。しかし屋号や看板は店にとって大事なもの、今後も大切に保存されるのだろう、失礼になってはとこらえた。しばし思い出話をして「それではお元気で」と言って別れたが、あきらめがつかない私は、その夜のうちに山本書店の近所に住み私の良き相談相手であり、また都留大フィールド・ミュージアムとも親交の深い市民の方(※3)に昼間の話をしたところ、「本当に必要な本は山本書店で買った。山本さんでしか手に入いらない本もあった」と山本家の移転を惜しんでくれた。「お店の看板はどうなるのだろう?」と持ちかけると、「まちの大切な記憶として大学のフィールド・ミュージアムで保存していただけるといいですね」と助言してくれた。勢いづいた私はすぐ山本家に連絡、外出中の史雄さんと連絡がとれたのは翌々日だったが、恐る恐る希望をお伝えしたところ、「どう処分しようかと迷っていた」とご快諾をいただいた。数日後、やはり山本書店にお世話になったという都留大フィールド・ミュージアムの北垣憲仁先生と共に再訪し、かつて帳場で上品に接客してくださった先代國雄さんの奥様にもお目にかかり、ご主人の思い出話などをうかがった。そして暮れも間近の12月20日、山本書店の屋号や看板類、店内の椅子とT教授のほしがった(?)岩波文庫の看板は、北垣先生の手でフィールド・ミュージアムに引き取られ、撮影された店の写真と共に保存されることになった。(つづく)北垣憲仁=写真写真2写真3写真4写真523
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