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「つくる」をみつめる ̶第3篇̶心と言葉を繋げる詩友会本誌で聞き取り(16-17頁「起き上がる朝」)をしている遠えんどう藤静しずえ江さん(79)のことをもっと知りたくて、私は去年の11月から都つる留詩しゆうかい友会に参加している。初めてお会いしたときに、詩が好きで子どものころから書いていたことをお伝えすると「詩が好きなら、ぜひ詩友会に入りなよ」と目を輝かせながら誘ってくださった遠藤さんの姿が、今も印象深く残っている。言葉を紡いで作品をつくる人がいる。詩友会に入ること、詩をつくること、そこから見えてくるものはなんだろうか。都留詩友会の詩誌『樹』都留詩友会の活動都留詩友会は第1週目を除く水曜日に、都留インターチェンジ近くにある遠藤さんのご自宅で夜8時ごろから開かれている。会員は現在18名。奇数の月は詩誌『樹き』の作成をし、偶数の月は作品研究をする。1月18日。ようやく詩友会に慣れ始めた私だが、今回は取材をするということで、緊張感を抱きながら遠藤さんのご自宅へ向かう。この日は新年最初の詩友会で、『樹』に載せる原稿(ゲラ)に誤字脱字がないかをチェックする。『樹』を作成する月はそれぞれ詩を持ち寄り、原稿をチェックし、製本作業をおこなう。発行部数は全部で400部ほど。印刷したあとは、機械を使わずに、自分たちの手で一部一部製本をしていく。『樹』は2012年1月発行で238号になる。そして今年で37年目を迎えた。「すごく自慢できるのはね、詩友会ぐらい(山梨県で)会員が賞をとっているところはありません!こんなに(238号も)出していることもありません。だから、詩友会に入ってるってなったら誇りを持ってください」と遠藤さんは満面の笑みでおっしゃる。また、詩友会の発表の場として毎年詩画展を開催し、去年で23回目になった。詩画展を開く前は毎年朗読会をおこなっていた。今回の取材がきっかけで、2月8日の詩友会では、遠藤さんのご自宅にある詩友会の資料を見ながら、長い歴史を振り返った。遠藤さんは『樹』の第1号から現在までの原稿や、朗読会、詩画展の企画書や写真など詩友会に関する資料をすべて保存している。年代を追って資料を見ると、朗読会も詩画展も毎年少しずつ変わっていることがわかる。朗読会では、会場にシラカバを植えた鉢を置いたり、来場者も一緒に詩の朗読をしたり、自分たちがやりたいと思ったことを次々にやっていた。「あのころは若かったからなんでもできた」そうだ。詩画展は、「最初のころは子どもの展示会みたい」と遠藤さんは振り返っていた。でも、試行錯誤を繰り返して、最近はようやく会員それぞれの個性が発揮できる展示会になってきたという。アルバムの写真に写っている、朗読をしている人や展示会を見に来た人たちは、真剣だったり、楽しんでいたりと発表の場を満喫しFIELD.NOTE38

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