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特集:冬仕事実り多い秋が過ぎ去り、山も畑もしんと静まりかえって、人も生きものも息をひそめているようです。冬は何もない季節、いろんなことが止まる季節。つい、そんな風に思ってしまいます。けれど冬の世界に足を一歩踏み入れてみると、想像していたよりもずっと広がりのある季節なのだと気づきます。冬にしかできないこと、冬だからやりたいこと。この季節におこなわれる人の営みを私たちは「冬仕事」と名づけました。仕事から冬を見つめたとき、冬はどんな姿を見せてくれるのでしょうか。水掛菜畑で「水ねぎ」の収穫をする清しみず水貞ていいち一さん(88)十日市場では、冬でも水温の下がらない湧水を利用して田んぼのあとに水掛菜をつくる。水掛菜は正月の雑煮の青物に欠かせず、暮れになると長靴をはいての収穫作業が忙しい。この日収穫ピークを過ぎた夕方の畑では、清水さんが「水ねぎ」を収穫していた。「水ねぎ」は、秋まで畑で育てたねぎを水掛菜畑の端に植え替えて、水を掛けながら育てたもの。ねぎ味噌にして食べるのがおいしいそうだ。 (2012.1.26 撮影:香西恵)冬仕事特集5

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