FN73号
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カマサワゴケ(5月5日)十日市場民家の近くの用水路でよく見られる。タチバヒダゴケ(5月12日)田原 本学入口本学前の並木になっているケヤキの樹皮に生えていた。ナガバチヂレゴケ(4月15日)田原 楽山公園ぽっと花が咲いているかのような形が愛らしいコケだ。ジャゴケ(5月16日)夏狩 長慶寺葉の表面がヘビのうろこのようになっている。みる。丸い葉であったりふさふさとした毛のような葉であったり、ちょっと眺めてみるだけですぐ識別できるものもある。葉だけでなく、ひょろりと長い柄を持つ蒴さくが天に向かって伸びている姿も印象的だ。こうやって近づいてみるまでは、一つひとつの違いに気づくことはおろか、違いがあるということさえ思いもよらなかった。 見た目の違いがわかってくると、今度は名前を知りたくなる。携えていた図鑑と実物とを見比べてみる。うーん、わからない……。葉の特徴から2、3種類まで絞り込むことはできるけれど、それから先はどこで見わければいいのだろう。本学の上うえの野健たけし先生がコケに詳しいという話を聞いて、採取したコケを調べていただいた。特徴のある数種類は、見てもらうだけで名前が判明した。けれど場合によっては、顕微鏡で数日かけて調べてみて、それでもわからないこともあるという。 コケを調べ始めてから、コケを見つけると近づいていって眺める習慣がついた。以前に見たコケと一緒だとわかると嬉しいし、初めて見るコケならばわくわくしてくる。地味だと思っていた植物に、こんなに惹きつけられるなんて。ふだん踏みしめている地面と同じ高さに視線を置き、初めてわかったことだ。この地に息づく小さな生きものの存在を、これからも見逃さないでいたい。11

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