FN73号
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陶芸をされている遠木さん。ふだんは電気関係の仕事をしている(2012.05.13)4月14日の午前9時ごろ、富士急行線 赤坂駅を出て、歩くこと5分。道路沿いにある遠木さんのご自宅に到着。遠木さんは、ご自宅の裏にある倉庫を利用した工房で陶芸をしている。「観光とかでちょくちょく陶芸を体験してたから、もとから興味があったんだろうね」とおっしゃる遠木さん。十数年前に陶芸を本格的に学んでから、現在も趣味で続けていて、展覧会などにも多く出展している。仕事が休みの日に作業をすることがほとんどだそう。陶芸用の土は専用の土を購入するとのこと。使用する土それぞれには名前と性質があるのだという。たとえば、「白しろしがらき信紫の荒」は土のなかに砂が入っていて、焼くとところどころに砂の塊が浮き出てくる。「赤あかつち土」は焼くと赤茶色になる。つくりたい作品に合わせて土を変えていくが、種類によっては焼くと割れやすいものもあり、扱うには注意が必要だ。 初めのうちは小さいものを多くつくって、慣れていくのが一般的だが、遠木さんは「最初から大きいものばっかつくってたね。大きいほうがつくるのが難しいから、慣れとこうと思って。大きいものをつくれる(体力がある)若いうちにつくっとけって先生にもいわれてた」とおっしゃる。たしかに、遠木さんのご自宅やアトリエには40㎝ほどの大きい作品が多く置かれている。また、工房には現在乾かしている2つの陶芸作品が置かれていて、こちらは私の上半身ほどの大きさがあった。どのくらいの期間でこんなに大きなものをつくっているのかをうかがうと「形づくりはだいたい3日くらいかな」とのこと。今回つくったものは、形をつくるのに3日かけ、乾かすために1ヶ月以上おき、焼きあげるのに2週間かける。遠木さんは、ほかの大きな作品でも最低2ヶ月を製作期間として費やす。すぐに完成するものだと思っていたので、時間がかかることに驚いた。陶芸のメインイベント 作品の形ができて、乾いたらいよいよ窯に入れて焼く準備にかかる。「焼きものっていうくらいだからね、陶芸は焼くことがメインイベントだよ」とおっしゃる遠木さんはどこか楽しそうだ。焼くときに注意するのはしっかりと乾いているかどうか。完全に乾いていないと焼いているあいだにひびが入ったり、欠けたりすることがあるそう。だからこそ、作品を大事に扱いながらじっくり時間をかけることが大切になってくる。 最初に焼くときは「素焼き」といって、一度、800度まで窯の温度を上げて焼く。そうすることで、丈夫になって扱いやすくなるとのこと。そして素焼きをしたあとに釉ゆうやく薬をつける。この釉薬も大事なポイントだ。釉薬は「長ちょうせき石」と「珪けいせき石」という鉱物を混ぜたものを合わせてつくられていて、これが溶けることによってガラス製品のように表面に艶が出る。そこに銅や鉄、灰などを入れると色がつく。どの成分をどのくらい入れるか、釉薬がどのように溶けるかによって色のぐあいも変わってくる。「化ばけがく学の原理だよね」と遠木さん。化学物質を何%調合することで、どのような発色になるといった化学変化の話にな

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