FN73号
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山梨の味 本学にはいろいろな都道府県から学生が集まってくる。山梨出身の私は「ねぇ、山梨ってどんなところ?」と聞かれることが多くなった。山梨ってどんなところだろう。いざ答える段階になると、なんだか自信がなさそうな私がいることに気づく。もっと胸を張って「こんなところだよ」と伝えられるようになりたい。そこで私が知らない山梨を、まずは食を通して一つずつ発見していこうと決めた。 深澤加奈(国文学科2年)=文・写真甘々娘に囲まれ笑顔の堀口さんご夫婦~甘かんかんむすめ々娘編~スイートコーンの茂みの向こう側、堀ほりぐちよしゆき口美幸さん(66)は片手を挙げてここだよ、と居場所を示してくださった。私が今回見つけたのはスイートコーンの「甘々娘」。西八代郡市川三郷町の旧三みたま珠地区で作られている特産品だ。名前は映画「銀座カンカン娘」にちなんでつけられたそう。 5月1日、空は薄曇り。そんな空の下でも甘々娘たちは生きいきと青い葉を広げていた。「農協のやつも呼んでるから」と紹介されたのは一いちのせだいすけ瀬大輔さん(36)。畑の脇に停めてあった軽トラックの荷台に堀口さんは腰掛け、お話を聞かせてくださった。 堀口さんが甘々娘を育て始めたきっかけは意外なものだった。家庭栽培用に甘々娘の種を貰おうと農協を訪ねると「ぜひ、本格的に育てて頂けませんか」とお願いされたのだそうだ。 甘々娘は〝とうもろこし〞ではなく〝スイートコーン〞の一種。「とうもろこしってのは完熟してから粉にする、穀物なんだよ。だから実は堅い。それに対してスイートコーンは生食用だ。違いが分かるか」と堀口さん。「甘々娘のようなのを、未成熟とうもろこしっていうんだ」と一瀬さんが付け加える。「ポップコーンのもとになるのは完熟したほうの〝とうもろこし〞の粒ってことですか」とたずねると、そうそう、と二人は頷く。 1月上旬には畑の準備に取り掛かり、種を蒔き始めるのは2月上旬。最初に育てる甘々娘の畑にはビニール製の二重のトンネルを張り、そのなかに「湯たんぽ」と言われる筒を用意する。湯たんぽには水を充てんし、それによりトンネル内の温度変化を少なくするそうだ。水はトンネル一本につき約1t半も使う。「山梨は寒冷地だからなぁ、寒さに弱いFIELD.NOTE40
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