FN73号
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H・D・ソローが『ウォールデン 森の生活』(今泉吉晴訳、小学館)で示唆した散歩のほんとうの意味とは何か。散歩をとおして見えてくるものとは。私たちは歩くことで、変貌する自然やまちの今を記録し、フィールド・ミュージアムのたのしみを報告していきます。今回は、前回の「山本書店」の続編です。第17回谷の町・史ふみの里都留市高尾町通り 山本書店 ②跡地(写真1)。2012年3月16日撮影 山本書店のことを書いた前号(72号)が発行された直後に、主あるじの去った山本書店は解体され更地(写真1)になった。そして「『フィールド・ノート』を読みましたよ」と何人かの方々から編集部とフェイスブックにメッセージが届けられた。それらは山本書店の思い出を大切にされ、山本さんのような商売が地域で成り立たないことを残念に思う内容だった。今回はそんな人びとの記憶も記録しておきたい。>フェイスブックから(抜)<■市内Aさん̶̶『フィールド・ノート』で(山本書店の)記憶を共有できてうれしいです。■市内新聞店でタウン誌を編集するKさん̶̶フィールド・ミュージアムに山本書店の看板が残ってよかったです。高校生の頃、早朝走っていると、川かわだな棚の橋の坂で山本書店の親父さんの散歩(いつも友だちと連れ立って歩いていた)によく行き会いました。たおやかな奥さんの店番、一徹さを継いだ息子さんのバイク姿…心に残っています。(中略) amazonより早い山本書店! 夕方頼んだ本が翌日の昼に手に入ることもあった。その小気味よさ! そして受け取る時のあたたかさ…「娘さんもおおきくなったでしょ?」「はい」というようにいつも話をして、「あらやだ、おつり渡したっけ…」という感じ。店は土間で、山本書店の家族は座敷で格子のカウンター越しに正座で対応。息子さんは、炬燵で仕分けをしながら時々音楽の話をしたりした。客と店との目線のつりあい…〝本〞を大切に橋渡ししてくれた。■市内自営業Iさん̶̶山本は旧友なので…悔しいです。ああいう店もやっていけるような街であって欲しいなぁ…。■市内Aさん̶̶個人商店にはきびしい社会になってしまいましたね。本だけでなく、買物も〝便利〞さや手軽さと引き換えにひとのつながりや、情緒も薄くなっています。私もコンビニやamazonを使うのですが、それでもなるべく、スーパーや量販店でなく地元の小売店や専門店で買うことにしています。 私には毎年決まって暮れにS社から出されるアメリカのある女流作家のサスペンス(シリーズ)を買う習慣がある。文庫本だが1冊1000円ほど、上下巻で2000円だ。大FIELD.NOTE42

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