FN73号
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都留市文化会館近くの現地に赴き、写真と目の前の風景とを見比べてみます。通りに面した蔵のかたちや遠くに見える山の稜線は、見紛うことなく同じものだとわかります。きっと、幾度となく修繕の手が加えられてきたのでしょう。規則正しい方形模様が続く海なまこかべ鼠壁は、「古さ」といったものをまったく感じさせません。しかし、長い年月を経るなかで大きな災害を乗り越えてきたことは確かです。できれば、持ち主のかたにお話を聞いてみたい。眼前の建物に限らず、広く土蔵というものへの興味を抱いていた私たちはお宅を訪ねることにしました。 呼び鈴に応えて出迎えてくださったのは横よこやま山矩のりこ子さん(94)。張りのあるしっかりとした声や話しかたに、あとから年齢をうかがった私たちは大いに驚きました。見聞する 横山家には、敷地内に三棟の土蔵が建てられています。母屋に一番近い手前の蔵が「前まえぐら蔵」、その隣が「中なかぐら蔵」、そして私たちが街なか土蔵見聞録牛丸景太(国文学科3年)藤森美紀(社会学科4年)=文・写真「剥げ落ちた土蔵の壁」大正12年撮影。『奥隆行写真コレクション』より裏通りから見た現在のようす。89年前とほぼ同じ場所に電信柱が立てられている(2012. 4. 25)FIELD.NOTE6

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