FN74号
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FIELD.NOTE12 7月15日、鐘を鳴らしているお寺を探しに行きました。いくつかのお寺を訪問してうかがったところ、都留市金井の桂林寺で、用ゆう津しん院いんというお寺が鐘を鳴らしているのだと教えていただきました。用津院は、江戸時代末期の郡内百姓一揆のとき、犠牲になった惣そう代だい7人を供養するためにつくられた六地蔵を祀っているお寺だそうです。鐘の歴史 用津院は桂林寺からほど遠くない場所にありました。併設されている家の呼び鈴を鳴らしたところ、中なかえ江ムツさん(82)が出迎えてくれました。鐘についてうかがってみると、「朝6時と、夕方5時か6時に鳴る都留市のチャイムのときに一緒に鳴らすの」とのこと。 ムツさんのお話によると、もとからあった用津院の鐘は第二次世界大戦のときに、「金属類回収令」(金属を溶かして戦争の材料にするための勅令)によって徴収されてしまい、今の鐘は昭和61年5月に作り直したものということでした。その鐘の装飾やつくりの完成度の高さに、これからお寺を建秀雄さんが撞木の縄を握って鐘をつく瞬間6月26日の夕方、都留市宝地区で写真を撮っていると、どこからか鐘をつく音が聞こえてきました。そういえば、お寺の人はどうして鐘を鳴らしているのだろうと、疑問がわいたので、そのお寺を探してみることにしました。細矢萌(国文学科1年)=文・写真鐘、響き、思い。FIELD.NOTE

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