FN74号
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FIELD.NOTE6白石さんの風鈴に出会う「白石ガラス工房」は大月市真まぎ木にある。緑に囲まれ車の通りも少ない、静かな場所だ。7月27日。工房の外に置かれた椅子に座ってお話を伺う。白石さんが初めてきらきらしたものに興味を持ったきっかけは、小さいころのビー玉遊び。大学生の時、日本初のガラス専門学校ができたことを新聞で知り、大学卒業と同時に入学なさったそうだ。工房を開いたのは今から22年前。おもにガラス食器の制作をなさっていて、風鈴を作り出したのは3、4年前からだ。「エコとか省エネって言葉が出だしてからかな」と白石さん。とりわけ去年、今年と需要が高まっているように感じるそうだ。「風鈴が鳴ると、風が吹いたんだなって分かるよね」。たとえ私たちには分からないほどの微風でも、風鈴はその音色で風の存在を気づかせてくれる。「ああ、ちょっと待ってて」と白石さんは工房のなかから二つの風鈴を持ってきて、木の枝に吊るしてくれた。風に吹かれて涼しげな音を奏でる。そのあと手元にも別の風鈴二つを持ってきた白石さん。丸くて青い模様がいくつか付いたほうを持ち上げて鳴らしながら「これみたいに模様がついていると厚みがところどころで変わるから、なんとなく音も複雑に聞こえませんか」。その風鈴はゥリーン、ゥリーンと鳴っているように私には聞こえた。音のなかに微かな振動を感じる。「こっちはすっきりした音だね」ともう一つ、全体が黄緑色のシンプルな風鈴を白石さんが揺らすと、リーンリーンと高くまっすぐな音が響いた。音は風鈴の口の開き具合によっても、こもり気味になったり、大きくなったりする。手作りの風鈴には同じ音のものが一つとして存在しないのだ。先日の風物詩展のようすについて伺うと、白石さんは「きれいな音がずっと鳴っていても良い訳じゃないですね。お客さんそれぞれに好みの音があって。もちろん見た目もきれいなものがいいですけれど。でもやっぱり、皆さん音で選びます」。都留市上谷の「ギャラリー英はなぶさ」で7月21日まで夏の風物詩展が開かれていたと私が知ったのは、最終日から3日後のことだった。ホームページに載せられた案内の写真には、白地に紫色や緑色が混じった模様の風鈴が写っている。こんな風鈴があるのかと思わず見入ってしまう。一体どんな音がするのだろう。展示期間は終わってしまったと分かっていても、手作りの風鈴の音を聞いてみたい。勇気を出して作者の白しらいしせいいち石精一さん(57)に電話をかけると、快く取材を引き受けてくださった。 深澤加奈(国文学科2年)=文・写真・イラスト 緑に囲まれたたずむ「白石ガラス工房」白石さん作の風鈴手作りの音に耳ににを澄ましてししFIELD.NOTE

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