FN74号
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FIELD.NOTE8やらオスのようだ。茶褐色で平べったい、まるで石のような見た目。そして、背中のラインがおしりに向かってキュッと締まった、たくましい逆三角形の体。それでいて脚も体長と同じ4㎝ほどの長さがあり、水かきが発達している。指先には石にしがみつくための丸い吸盤が目立つ。姿かたちから、「この川で生きているんだよ」というメッセージが伝わってくる。曇り空で少し肌寒い日。だんだんと薄暗くなってきたころに鹿留川へ。耳をよくすましてみても、まったく鳴き声が聞こえてこない。石をひっくり返してまわっても、全然見つからなかった。会えないもどかしさを感じつつ、逆にいつでも会えてしまったらおもしろくないはずだとも思う。いつでも会えないからこそ会ってみたいと思うし、時間をかえ図鑑などで調べてみると、カジカガエルは春先に近くの林などから川に下りてきて、6月から8月ごろにかけて繁殖活動をするらしい。そこで、都留市内を流れる鹿ししどめがわ留川に向かってみた。耳をすますと、さっそく鳴き声が聞こえてきた。川の瀬音に似ているような、涼しげで透きとおるような鳴き声。オスはこのきれいな声でメスに求愛しているのだ。鳴いている姿をすぐ近くで見ることを目標に、私はしばらく鹿留川に通うことにした。昼間の鹿留川にやって来た。今日の目的は、カジカガエルを捕まえて自分の目で観察することだ。図鑑によると、カジカガエルは水中の石の下にかくれているらしい。何気なく石をひっくり返してみると、さっそく1匹のカジカガエルが飛び出して、あっという間にすいすいと泳いで行ってしまった。続けて近くの石をめくっていくと、カジカガエルの捕獲に成功。体長は4㎝ほど。体長と図鑑で見た写真のほっそりしたようすから、どう♪フィーフィーフィフィフィフィフィフィ神奈川県立生命の星・地球博物館で、カエルの鳴き声を当てる展示を楽しんでいたときのことだった。ボタンを押すと、とてもカエルとは思えない、鳥のように高くて上品な鳴き声が聞こえてきた。そのカエルの名は「カジカガエル」。私のなかに、じっさいにカジカガエルの鳴き声を聞いてみたい、見てみたい、という気持ちが一気にわきあがってきた。   鈴木陽花(初等教育学科3年)=文・イラスト 砂田真宏(初等教育学科4年)=写真FIELD.NOTE

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