FN75号
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 アカネズミは、広い森のなかを駆け回る夜行性のネズミだそうだ。偶然に出会うのは大変そうに思えたが、できることなら近くで観察したい。何かいい方法はないかと調べてみると、手作りの箱のなかに誘導し、その姿を観察する方法を見つけた。自然のなかの姿とは言い難いが、これなら近くで観察できるかもしれない。私はさっそく観察装置の製作に取りかかった。 10月24日(水)19時〜21時30分。観察装置を設置して約2時間半、アカネズミがくるのを待ったが現れなかった。カメラを2分ごとに撮影するように設定し、小屋を後にした。相手は生きもの。やはり、初回からすぐに現れるほど簡単ではなかった。 10月25日(木)10時10分。観察装置を見ると、ヒマワリの種の殻だけがきれいに残されていた。カメラを確認すると、午前2時2分と2時6分にアカネズミが写っていた。この観察装置に間違いなくアカネズミがやってきたのだ。フラッシュの強い光が数回たかれたはずなのに、出入りをくり返したようだ。そのようすをじっさいに見られたらと想像するだけで、今後の観察への期待が一気に膨らんでいく。 10月30日(火)21時25分〜22時30分。約1時間待ったが、今日も現れなかった。今度は、体温に反応してシャッターが切れるセンサーカメラを仕掛けて小屋を後にした。出会いはそう簡単でないと分かっていても、帰りの足取りは重い。でも、待てば待つほど出会えた時の感動が大きくなると思えば、こうした時間も決して無駄ではないだろう。 11月1日(木)11時30分。観察装置内のヒマワリの種が一粒残らずなくなっていた。蓄えるためにすべて持ち帰ったのかもしれない。種を食べてしまう場合と、持ち帰る場合があるようだ。 11月6日(火)21時25分〜翌朝6時。いまだ見られないアカネズミへの想いが募り、つ観察装置にやってきたアカネズミ(2012.11.7)都留市十日市場にある中屋敷フィールドで撮影されたアカネズミの写真(本誌73号18頁参照)。それを見た私は、小さいころに読んだ絵本に出てきた野ネズミたちを思い出した。近くにいるのならば、じっさいに生きている野ネズミを見てみたい。そこで今回は、中屋敷フィールドにある観察小屋でアカネズミの観察に挑戦した。鈴木陽花(初等教育学科3年)=文・写真・イラスト窓タネ外へ観察装置アクリル板パイプ

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