FN75号
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 永寿院の湧水は、富士山に降った雨が地下にしみ込み、ゆっくりろ過されながら、溶岩層を通ってきたといわれています。境内にはたくさんの湧水地と小川があるために涼すずやかでした。入り口から見て正面にお寺があり、その横に湧水の池があって、奥にある溶岩の崖の間から水が湧き出ています。湧水に近づいてみると、肌で涼しさを感じ、水の音が振動として体に伝わってきます。溶岩をよく見ると、湧水が伝う部分が赤茶色に変色していることに気づきます。さわると粉々になるくらいやわらかくなっていました。 永寿院に行く途中に湧水の小川で、洗剤を使って洗いものをしている人を見かけました。洗剤が湧水の透明な小川に混ざっているのをみて、私は残念に思いました。しかしきれいであることだけが水ではない、と視点を変えてみます。すると流れるなかでさまざまなものを一緒にまきこんで、海へ流れていく姿もまた水の一面であると思えました。水はきれい永寿院の裏の湧水水の柔軟性湧水を探していたことがきっかけで、都留市十日市場にある永えいじゅいん寿院というお寺に出会いました。あちこちから湧き出す水、周りの木々、やわらかい土。永寿院を初めて訪れたときに感じたもの……それは流れる水の力。そして周りの自然の流れでした。

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