FN75号
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FIELD.NOTE28鳥居……? 本学から西へ10分ほど自転車をこぐと、長慶寺というお寺につく。そのお寺を右側に見ながら、もうすこし進んだところ。左に曲がった路地の先に、それはあった。自転車を降りて、歩いて近づいてみる。「八やつおもてじんじゃ面神社」という文字が額の中央にあった。目の前にある鳥居は、私たちがふだん見ている鳥居とは違い、一番上の部分が存在しない。これは果たして本当に鳥居なのだろうか。疑問が湧いた私は、ほかにどんな形の鳥居があるのかとても気になり、家に帰って鳥居のことを調べてみた。鳥居のことを知る 鳥居とは、二本の柱の上に笠かさ木ぎ、島しま木ぎを置き、その下に貫ぬきというものを入れて柱を固定したものである。柱や笠木などの主要な部分に反りがあるかないかで、大きく二つに分類されるそうだ。反りがあるものが明みょうじん神鳥居、ないものが神しん明めい鳥居といわれる。そのほかにもいろいろな形が存在するが、基本となるのはこの二つだという。 これを参考にしてみると、八面神社の鳥居は笠木と島木がないものだとわかった。一般的に鳥居の各部分は、地震や材料の劣化によって部分的に失われてしまうものもあるそうだが、この八面神社の場合、笠木と島木が乗っていたような痕跡は無い。それはなぜなのだろうか。考えが詰まってしまった私は、八面神社の宮司である小おさの佐野景かげよし賀さん(50)にお願いし、お話を聞かせてもらうことにした。小佐野さんのお話を聞いて 小佐野さんは、西桂町の浅間神社にご奉仕しており、八面神社などほかの神社の宮司も兼務している。「八面神社の鳥居ですね。うちが代々ご奉仕させていただいています。とはいえ、八面神社については記録がないので、お答えで額の文字。初めて見たときは、なんと読むのか分からなかった八面神社の鳥居。よく見る鳥居の色は赤だが、こちらは白だ鳥居の形─八面神社の鳥居から─9月の中旬、都留市夏狩へ富士山を見に行った帰り道。自転車をこぎながら、流れていく風景を見ているときだった。ふと視線を横に移すと、とある神社の鳥居が目についた。細矢萌(国文学科1年)=文・写真・図FIELD.NOTE

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