FN75号
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FIELD.NOTE32 本学から歩くこと25分。都留市上谷にある「よねやま手芸店」は、国道139号線沿いにある。お店の正面から見えるショーウィンドウはシャッターで閉められていた。お店の前の歩道は狭く、ほとんど人通りはない。閉められたシャッターと車の音しかない店先に、寂しげな印象を強く受けた。 店内に入ると、毛糸や布、針やボタンなどの小物、手芸本などの商品がところせましと置いてある。そこに紛れるようにつるし雛やビーズでつくられた花のリース(右上写真)などのたくさんの作品があった。ひとたび目につくと、店内のどこをみても作品たちが輝きでも放っているかのように惹きつけられる。店先と店内とでは雰囲気はガラリと違って驚いた。お店と米山さん 店主の米よねやま山徳とくこ子さん(83)は、昭和38年にお店を開いて以来、お一人でよねやま手芸店を切り盛りしているそうだ。当時、米山さんのお宅から二軒下ったところに手芸屋さんがあり、その手芸屋さんに「店を閉めるんだが、代わりに米山さんがやってみないか」と言わ米山さん(左端の女性)と来店していたご夫婦先月、家にあった白い毛糸で手編みのマフラーを編んだ。ちょっといびつなマフラーは姪の希望でフリンジをつけてプレゼントした。マフラーの時期には少し早かったけど、私が編んだマフラーをつけた姪は嬉しそうだった。そんな姿を見て、私も嬉しくなった。胸があたたかくなった。小さな幸せを生んでくれた。都留にはどんな手芸屋さんがあるのだろう。三枝弥生(国文学科1年)=文・写真幸せおすそわけの̶よねやま手芸店̶

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