FN75号
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FIELD.NOTE36葡ぶどう萄の一大産地、山梨県出身の私にとってワインは身近なもので、スーパーに行くと一升瓶のワインが置いてあったり、実家では何かのお礼にワインをあげたり貰ったりと、暮らしの隅にいつもちょこんといるような存在だった。今年20歳になった私の前に、味わうものとしてはっきりと姿を現したワイン。するといろいろな疑問が芽生えてきた。どうやってできるのか、誰がどんな思いで造っているのだろう?ワインのことをあまりよく知らない今だからこそ、新鮮な驚きがあるかもしれない。 見渡すと、一面の葡萄畑。都留よりも遠くに見える山並み。10月27日、私は甲州市勝沼町にある、丸藤葡萄酒工業を訪ねた。 売店のかたに声をかけると、取材をお願いしていた竹たけうちたかのり内毅徳さん(40)は上の階にいるとのこと。竹内さんは山梨大学で放線菌(土のなかに存在し、抗生物質を生産する菌)について学び、ワイン造りの道に進んだかただ。私は人づてにそのことを知り、ぜひ竹内さんにお話を伺いたいと思った。階段を上った先には銀色の大きなタンクや見たことのない機械が並んでいて、4、5人のかたがしゃがみこんだりホースを持ったりしながら、なにやら作業をしている。邪魔にならないか、と隅のほうでたじたじとしていると奥から作業着姿の竹内さんがやってきた。木製樽の秘密 取材ということで少し緊張されているようすの竹内さん。ゴーゴーと音を立てている葡萄プレス機の前まで移動し「今日はちょうど仕込みをやっててよかった。例年だと仕込みは9月の半ばから10月の半ばにかけてなんで」と言って作業場のほうを振り返る。今年は雨量が少なく、病気にかかる葡萄が減ったため、質の良い甲州種葡萄が多く収穫された そうだ。そのため仕込みの量も増え、例年ならすでに終わっているはずの作業工程を見せていただくことができた。 地下貯蔵庫を案内していただく途中、木製の樽が並べられている場所に来た。展示の一部なのかと思い「このなかは空なんですか?」と竹内さんに尋ねると「ワインが入ってるよ。こっちに来てもらうと分かるんだけど」と言いながら樽に近づき、その側面を指差す。私も近づいて竹内さんの指差す先を見ると、外国語で何か書かれている。「ミディアムって書いてあるんだけど、樽の焼き具合のことなんだよね」と言われ、少し戸惑った。そのよ作業場で葡萄をプレスする機械について説明してくださる竹内さん(左)。作業場は屋外になっているため、光に照らされて明るい山梨の味~ワイン編~﨑田史浩(社会学科4年)=写真深澤加奈(国文学科2年)=文 FIELD.NOTE

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