FN76号
14/48

とくに重要なことだとも思えなかったのか、書かなかった理由はその時々によって異なっていたような気がします。 ノートを書き始めたのは、中屋敷のようすをみんなで共有できるようにしよう、という理由からでした。その場では小さなことに思える作業、時間や気温も、記録が残っていれば、他の人がいつか畑仕事をするときに役に立つことがあるかもしれないからです。そう考えるとやっぱり、「もっと細かく書いておけばよかったなあ」と思ってしまうのです。 冬が訪れて、畑での収穫物がなくなるころになってやっと、次の年のことについて考え出せるようになりました。そうしたときに、ノートの記録の大切さを思い知ったのです。         ◆ 畑を拓いたばかりのころ、私は「1年かぎりの畑でもいい」と思っていました。それでも通い続けていくと、拓いた畑に対する、小さな責任感が芽生え始めたのです。「中屋敷の畑は山が近いから、動物の食べものになるような野菜は育てないほうがいいな、じゃあどんなものを育てるのに向いているのかな」2つ目の畑を耕す砂田くん6月に拓いた2つ目の畑ですが、砂田くんと私だけでは手が回らなくなってしまったため、9月17日に土をならし、この畑での作物づくりをやめることになってしまいました。寂しさはありましたが、中途半端にしないためにも必要なことだったと感じています。メダカが泳ぎ、トンボが飛び交う池です。暖かい時期にはここへシカなどが訪れていました。2月28日、川から水を引くホースの具合が良くないようで池は干上がっていました。池の底には動物の足跡が。何を目的にここへ来たのか、不思議でなりません。2012年3月~2013年2月のこと収穫した夏野菜畑へ通うこの道沿いのクワの木には、たくさんの甘い実がつきました。ウメジャム(本誌74号参照)と同じころに、クワの実でもジャムを作りました。クワの実をとる香西さんと砂田くん池についていた足跡。ひとつひとつ、くっきりと残っている

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る