FN76号
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242012年春、『フィールド・ノート』は創刊10周年を迎えました。10年の歩みのなかで私たちが大切にしてきたことはなにか。そしてこの先、大切にしていきたいこととは。最終回は、昨年3月に続き二回目となる「読者交流会」を企画。ふだんあまり触れることのできない読み手の視点から、今後の活動に活かしていきたいヒントが見えてきました。二月十一日 (月)当番 牛丸10周年企画 最終回FIELD.NOTE24今回のゲストは、本学社会学科教員の田中夏子さん(52)。長年にわたって『フィールド・ノート』を愛読していただいている読者の一人です。5周年・7周年企画で寄稿をいただいている田中さんは、本誌をどう読んでいらっしゃるのか。10周年を機にお話を伺います。都留を知るための「教科書」◆はじめに、本誌と出会ったときの印象などをお聞かせください。 最初私がここ(本学)に来たのが、ちょうど10年前の春でした。自分が働く場がどういう空間構造になっているのか、そこで人が何をしているか、ということに関心があったので、これ(本誌)を見たとき、人のこと、自然のこと、人と自然の関わりのことが細やかに書かれてあって、大きな衝撃を受けました。まずは私が都留を知るための「教科書」として読ませていただいたのが、最初の出会いです。私が(本誌を)教科書として、都留歩きのテキストとして手にしたので、新入生が入ってきたとき、ここにある情報を提供して、そこから都留のことを勉強したらよいのではないか、最初はそう思いました。 その後どうなったか。さっそく授業にも使わせてもらいました。「フィールド体験」という科目(課外授業)がありまして、都留市を巡るわけです。50号なんかは自分がイメージしていた「初めて来た学生たちが都留と出会う教材」がすごく豊かにあると思いました。だけどそれは、正しい『フィールド・ノート』の使い方なのか疑問をもつようになりました。予備知識をみんなで共有するっていう使い方では、『フィールド・ノート』を理解した使い方ではないかな、と思うようになりました。これは情報誌ではないな、と。 情報誌だったら知識として、前もって、ということでいいと思うんですけども、自分とある対象││たとえば都留だったら水でもいいし、田んぼでもいいし、ワサビでもいいし、田んぼやワサビのそばにある石垣でもいいんですけど││その出会いっていうのは、誰かが説明してくれることによって代替できるものではない、ということです。皆さん(編集部員)の先輩がたが一から取材をして、感じFIELD.NOTE

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