FN76号
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FIELD.NOTE32歩数は何の気なしにスマートフォンの万歩計の機能でずっと記録し続けていた。換算すると、一日約5000歩弱。外出時にしか身に着けていないから、アパートにいるときやアルバイトの時間の分を足すともう少し増えるだろう。平均的な歩数よりはだいぶ低いとしても(20歳以上の女性の全国平均は6437歩。「平成23年国民健康・栄養調査結果の概要」厚生労働省)、都留に来る以前よりは格段に多く歩いている。無意識であっても積み重ねてきたこの大きな数字を見ると、おもわずほくそ笑んでしまう。けれど、どうして前よりも歩くようになったのだろう。都留に来てからの、歩いたことを振り返ってみた。雪を歩く 1月15日、雪の降った翌日のこと。山梨県笛吹市出身の私にとって、膝ほどの高さまで積もった雪を踏みしめて歩いたのは生まれて初めてのことだった。一歩進むごとに雪が靴にまとわりつき、足を踏み出すにも雪から引き抜くにも、普通に歩くのに比べて何倍もの体力を使う。それでもその苦労自体や雪特有の踏みしめた時の音が新鮮で、楽しくもあった。 その雪が降った数日後、夜遅くに大学からアパートまで帰った。都留は星がきれいだとは聞いていたけれども、じっさいに見上げてみるとそれはもう格別で、夜でもアパートや街灯の明かりの多いときには見られない無数の星におもわず見とれてしまう。雪が溶けはじめる時期で路面は滑りやすい。そうは分かっていても、顔を下げられない。空気が澄んでいるとはこういうことなのかと実感した。寒くて全身が冷え切っていたけれど、ゆっくりゆっくりと星を眺めながら歩き、いつもの倍近くの時間をかけてアパートに着いた。山を歩く 編集部の先輩たちに連れられ、いろいろな生きものを探すために山や川に足を運んだこともある。 昨年の12月9日には、サンショウウオとの出会いを求めて沢に行った。本学から車で20分ほどのところにある細野川から、その上流の沢に着くまでには、山の小さな斜面を慎重に上り下りしたり、草をかき分けて進んだり1,484,290。これは私が昨年の4月の頭から1月末までに歩いた歩数だ。この数字から見えること。変化したことと、これからと。歩数を通して考えてみた。 数から 見えるもの歩FIELD.NOTE
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